山中(読み)ヤマナカ

デジタル大辞泉 「山中」の意味・読み・例文・類語

やまなか【山中】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「山中」姓の人物
山中貞雄やまなかさだお
山中伸弥やまなかしんや
山中鹿之助やまなかしかのすけ
山中恒やまなかひさし
山中正竹やまなかまさたけ
山中峯太郎やまなかみねたろう

さん‐ちゅう【山中】

山の中。山間。やまあい。
[類語]山内山奥山懐山腹中腹山間さんかん山間やまあい山峡やまかい

やまなか【山中】[地名]

石川県加賀市の地名。旧町名。大聖寺川の上流域を占め、古来名湯とされる山中温泉がある。山中塗九谷焼の産地。→加賀

やま‐なか【山中】

山の中。山間。さんちゅう。

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精選版 日本国語大辞典 「山中」の意味・読み・例文・類語

やま‐なか【山中】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 山の中。山間。さんちゅう。
    1. [初出の実例]「をちこちのたづきも知らぬ山中におぼつかなくも喚子鳥かな〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春上・二九)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 石川県南部の地名。古くから温泉町として知られる。九谷焼の発祥地。漆器工業が盛ん。
    2. [ 二 ] 静岡県三島市山中新田の地。江戸時代は東海道五十三次箱根宿と三島宿の間の立場(たてば)であった。

さん‐ちゅう【山中】

  1. 〘 名詞 〙
  2. やまのなか。やまなか。山間。山内。
    1. [初出の実例]「苦行独老山中室、盥嗽偏宜林下泉」(出典:凌雲集(814)贈賓和尚〈嵯峨天皇〉)
    2. [その他の文献]〔史記‐留侯世家〕
  3. ( ━する ) 流刑。追放。〔日葡辞書(1603‐04)〕

やまなか【山中】

  1. 姓氏の一つ。

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日本歴史地名大系 「山中」の解説

山中
やまなか

[現在地名]美東町大字赤 山中

あか最北端の集落で、山中垰やまなかだおを北に下った山間の谷間にある。大津おおつ阿武あぶ・美祢三郡の郡境付近に位置し、古くより交通上重要な位置にあった。「延喜式」にみえる古代の陰陽連絡路は、垣田かきた(現萩市椿東付近)から参美さみ(現萩市山田の木間付近)を経て三隅みすみ(現大津郡三隅町)と進むが、その途中、山中の傍らを通過する。また山中より赤、青景あおかげ嘉万かま(現秋芳町)に通ずる三筋の古径が今も残る。


山中
やまのうち

椎葉しいば村・南郷なんごう村・東郷とうごう町などの耳川流域と、耳川から現町を通り熊本県へ至る一帯をさす広域地名。山内とも書く。この地域の小領主は山内衆とよばれた。天正六年(一五七八)以降は島津氏の支配下にあり、島津義久の部将上井覚兼の日記に山中・山内衆がしばしばみえる。天正一一年の閏一月一〇日には米良氏・俣江氏とともに山内衆四五人が年頭の礼として覚兼のもとを訪れている。同一三年四月、上井覚兼と吉利忠澄らが狩人一千人ほどを集め平岩ひらいわ(現日向市)辺りで狩を行った際にも、山中の俣江またえ(現南郷村)坪屋つぼや(現東郷町)などからやってきている。


山中
やまなか

[現在地名]津市山中岩田やまなかいわた

宮之前みやのまえの南、出口でぐちの西に位置する。「宗国史」は岩田村に属するとある。城下町に準じて取扱われた。武士と町人の混住地で、出口・立合たちあい町とともに悪水が停滞する泥沼地であった。津藩士山中兵助為綱が明暦年間(一六五五―五八)排水工事を行い、その功績をたたえ、町名を山中とし、山中神社を建て、為綱の愛用していた能面を神体として祀ったと伝える。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山中」の意味・わかりやすい解説

山中
やまなか

石川県南部、江沼郡(えぬまぐん)にあった旧町名(山中町(まち))。現在は加賀(かが)市南部を占める地域。旧山中町は1913年(大正2)町制施行。1955年(昭和30)河南(かわみなみ)、西谷(にしたに)、東谷奥(ひがしたにおく)の3村と合併。2005年(平成17)加賀市に合併。国道364号が通じる。大日山(だいにちざん)の北西麓(ろく)、大聖寺(だいしょうじ)川、動橋(いぶりばし)川源流部の山地にあり、福井県に接する。温泉と漆器の町で、山中温泉は行基(ぎょうき)が発見して薬師如来(にょらい)を祀(まつ)ったと伝え、近世には湯元12軒があり湯治場として栄えた。大聖寺川上流の九谷(くたに)の九谷焼、真砂(まなご)の挽物(ひきもの)は浴客の土産(みやげ)物となった。九谷焼、山中漆器はこの伝統を継ぐ。1997年(平成9)には県立山中漆器産業技術センターができた。1897年(明治30)北陸本線が開通、鉄道馬車が大聖寺駅から温泉まで通じて浴客が増加した。1931年(昭和6)大火で温泉街は焼失、1939年鶴仙渓(かくせんけい)沿いに再建された。上原(うわばら)漆器団地があり、山間地では木材生産やシイタケ栽培が行われるが、過疎化も著しい。栢野(かやの)の大スギ、八幡(はちまん)神社の大スギは樹齢2000年以上といい国指定天然記念物。九谷磁器窯跡は国指定史跡。

[矢ヶ崎孝雄]

『『山中町史』(1959・山中町)』『『山中町史 現代編』(1995・山中町)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山中」の意味・わかりやすい解説

山中
やまなか

石川県南西部,加賀市東・南部を占める旧町域。大日山の北西斜面にあり,南は福井県に接する。1913年町制。1955年河南村,西谷村,東谷奥村の 3村と合体。2005年加賀市と合体。地名は古来の村名で,山に囲まれていることに由来する。大日山に源を発する大聖寺川,動橋川(いぶりはしがわ)が貫流。中心地は大聖寺川の中流域にあり,山中温泉の温泉街として発達。山中塗安土桃山時代に始められたが,1950年代半ばにはプラスチック素地が用いられるようになり,漆器工業団地が造成されて,国の内外に出荷されている。広大な山林資源があり,素材,木炭を生産,シイタケの栽培が行なわれている。大聖寺川上流には,多目的の我谷ダムや古九谷の発祥地九谷があり,大日山一帯を含め山中・大日山県立自然公園に指定されている。栢野(かやの)の大スギ,八幡神社の大スギは国指定天然記念物,九谷磁器窯跡(→古九谷古窯址)は国指定史跡。

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普及版 字通 「山中」の読み・字形・画数・意味

【山中】さんちゆう

山の中。明・王守仁〔楊子徳・尚誠に与ふる書〕山中のを破るは易く、心中のを破るはし。區區として鼠竊(そせつ)を翦除(せんぢよ)するは、何ぞ異と爲すに足らん。

字通「山」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「山中」の意味・わかりやすい解説

山中[町]【やまなか】

石川県南部,大聖寺(だいしょうじ)川中流域を占める江沼(えぬま)郡の旧町。中心は加賀温泉郷の一つで古来の名湯山中温泉(含食塩セッコウ泉,21〜51℃)の温泉町で,加賀市からバスが通じる。自転車部品,山中塗(ケヤキを素地とした大衆向漆器)を産する。九谷地区は九谷焼の発祥地。2005年10月加賀市へ編入。154.39km2。1万19人(2003)。

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改訂新版 世界大百科事典 「山中」の意味・わかりやすい解説

山中 (やまなか)

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世界大百科事典(旧版)内の山中の言及

【山中[町]】より

…加賀山地を北流する大聖寺(だいしようじ)川の上・中流域を占め,川沿いに国道364号線が通じる。北陸の名湯山中温泉を中心に市街地が発達する。温泉は僧行基の発見という伝説をもち,古くから白鷺ノ湯,菊ノ湯,葦ノ湯があって蓮如や芭蕉らも訪れている。…

※「山中」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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