改訂新版 世界大百科事典 「ランセン石」の意味・わかりやすい解説
ランセン(藍閃)石 (らんせんせき)
glaucophane
アルカリ角セン石の代表的な鉱物。化学組成はNa2(Mg,Fe2⁺)3Al2Si8O22(OH)2で表される。MgとFeは任意に混ざりあう。Feの多いものは鉄ランセン石ferroglaucophaneと呼ばれる。Alは連続的にFe3⁺と置換することができるが,中間的な組成の角セン石はクロス(角)セン石crossite(青セン石ともいう),Fe3⁺が多い場合はリーベック(角)セン石riebeckite(曹セン石ともいう)と区別して呼ばれる。単斜晶系。比重3.0~3.4,モース硬度6。灰青色からFeが多くなるにつれて藍青色に変化する。青みがかった色が特徴である。ふつう繊維状の集合体として出現する。まれに長柱状の数cmに達する結晶も見られる。高圧型の広域変成岩に特徴的に産し,ランセン石片岩,もしくはその色調から青色片岩blueschistと呼ばれる岩石を構成している。藍閃変成作用はこの鉱物の名前に由来する。
執筆者:鳥海 光弘
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