日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラービ川」の意味・わかりやすい解説
ラービ川
らーびがわ
Ravi
インド西部とパキスタンを流れるインダス川五大支流の一つ。サンスクリット語ではイラバティ川とよばれる。全長764キロメートル。インド北西部、小ヒマラヤ山脈のコクサール山(標高4631メートル)の氷河に発して山岳地帯を北西流し、チャンバから南西に向きをかえる。その後カツア(標高300メートル)からパンジャーブ平原に入り、パキスタンのラホールを経てムルタンの北方の標高100メートルの地点で、同じくインダス川五大支流の一つチェナブ川と合流する。途中の一部で、インド、パキスタン両国の国境を形成している。先進農業地域であるパンジャーブ平原の灌漑(かんがい)網の水源で、カツアに上部バリ・ドアブ用水路の、中流のバロキに下部バリ・ドアブ用水路の頭首工がある。河水は雨量の多い夏に年間流量の81%が流れ、冬は19%である。このため灌漑用水も夏期は常時取水できるが、冬期には番水制をとっている。
[成瀬敏郎]