ラホール(読み)らほーる(英語表記)Lahore

翻訳|Lahore

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラホール」の意味・わかりやすい解説

ラホール
らほーる
Lahore

パキスタン北東部、インドとの国境にある古都。パンジャーブ州の州都で、パキスタンの学術、文化の中心地である。人口506万3499(1998)、1112万6285(2017センサス)。起源は伝承では『ラーマーヤナ』にまでさかのぼるが、都市として発達し始めるのは1021年にガズナ朝マフムードがこの地を占領してからである。以後、諸王朝のパンジャーブ地方支配の拠点となり、とりわけムガル帝国の下で繁栄し、1566年ごろには、周濠(しゅうごう)を備えた高さ9メートルの市壁に囲まれ、12の市門をもつ都市となった。現在の旧市は当時のおもかげを残し、旧市の北端にある王城は、ムガル帝国のアクバルジャハーンギールシャー・ジャハーンの3代の皇帝により建設された壮麗な宮殿をもつ。王城の西にはアウランゼーブ帝時代につくられた世界有数の規模をもつバードシャーヒ・モスクがある。ムガル帝国の衰退後は、ここを首都としてシク王国が興ったが、1849年の敗戦によりイギリス領となった。イギリス領時代には、旧市の南方に州庁、大学などのインド・サラセン様式の公共建造物が建ち並ぶ新市や、東方には広大な兵営地区が建設された。独立後は新市と兵営地区の周辺住宅地が広がり、工業団地も計画的につくられ、繊維電気化学機械などの諸工業が立地している。1940年にはパキスタン建国の礎(いしずえ)となったラホール決議を採択したインド・ムスリム連盟大会が開かれ、それを記念して王城北方のイクバル公園には「パキスタンの光塔」が建設されている。

[応地利明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラホール」の意味・わかりやすい解説

ラホール
Lahore

パキスタン北東部,パンジャブ州の州都。同国第2の都市。インド国境から 12km,ラビ川東岸に位置する。1~2世紀頃に建設されたといわれるが,西南アジアとインドを結ぶ交通路の要衝として,北インド,アフガニスタンの諸勢力の争奪が繰返された。ムガル帝国時代には,皇族の居所となって最盛期を迎え,多数の壮麗な建造物で飾られた。シク王国領時代には,その王都となり,イギリス領となってからはパンジャブ州の州都。独立後 1955~59年には首都。同国鉄道網の要地で,国際空港もあり,商業,金融の一大中心となっている。また綿紡績を中心に製鉄,製鋼,製靴,ゴムなどの工業がある。伝統的な金銀細工でも知られる。同国で最古,最大のパンジャブ大学 (1882) があるほか,中等・高等教育機関が集中。ラホール博物館 (1894) もある。インド,カシミールに近いことから,同国最大の軍事基地がおかれている。人口 295万 2689 (1981) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android