日本大百科全書(ニッポニカ) 「リスペクトル」の意味・わかりやすい解説 リスペクトルりすぺくとるClarice Lispector(1925―1977) ブラジルの女性作家。ロシア系の両親とともに生後2か月でブラジルへ移住。地方主義小説全盛期に発表した処女作『野生の心のかたわらで』(1944)をはじめとする、独特な文体の内省的、実存主義的作品で現代ブラジル文学に新風を送り込んだ。隠喩(いんゆ)に富んだ詩的で不透明な文体は現実世界の不透明さと照応し、登場人物の心理的メカニズムよりはむしろ形而上(けいじじょう)学的存在理由に迫っている。代表作は『暗がりの中のリンゴ』(1961)、短編集『家族の絆(きずな)』(1960)など。[高橋都彦] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例