化学辞典 第2版 「レニウム化合物」の解説
レニウム化合物
レニウムカゴウブツ
rhenium compound
レニウムは7族遷移金属元素で,マンガンと化学量論的には同種の化合物,たとえばMnO4-,ReO4-をつくるが,化学的にはかなり異なっている.レニウムの酸化状態には,-1,0,2~7が知られている.マンガンでは2がもっとも安定な酸化状態で,高スピン Mn2+ 陽イオンが主であるのに,レニウムは,ほとんど2の酸化状態の化合物をつくらず,4~7の状態が重要である.ReO4-はMnO4-より酸化力はかなり小さい.ReⅢではハロゲン化物において金属-金属結合がつくられることが特徴的である.マンガンにはこのような化合物はない.少なくとも,酸化状態4までRe-Re結合をつくる傾向がある.原子間距離Re-ReはRe2X9-(Xはハロゲン)では0.271 nm で,La4Re6O19では0.242 nm である.水溶液化学ではほとんど陽イオンはなく,オキソ酸陰イオンReO4-がよく知られている.酸化物,硫化物,ハロゲン化物,ハロゲノ錯体,オキソ酸,カルボニル錯体などが知られている.Re-Ⅰには [Re(CO)5]-,Re0 には[Re2(CO)10],ReⅠには[ReCl(CO)5],ReⅦには [ReH9]2- などの化合物がある.Re3Bは4.7 K で超伝導になる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報