レプリコン(読み)れぷりこん(その他表記)replicon

翻訳|replicon

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レプリコン」の意味・わかりやすい解説

レプリコン
れぷりこん
replicon

連続的に複製される遺伝物質の構造単位。1963年にフランスのジャコブとイギリスのブレナーS. Brennerが提唱した単位で、彼らは、レプリコンの複製は、イニシエーターとよばれる制御因子の働きで、レプリケーターとよばれる複製起点から開始され、連続的に行われると主張した。細菌類の染色体DNAウイルスのDNA、あるいはRNA自律増殖する細胞質中のプラスミドは、それぞれレプリコンである。また、真核生物の染色体は多数のレプリコンからなり、細胞分裂のときには各染色体のそれぞれのレプリコンでDNA分子の複製が行われる。

[石川辰夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のレプリコンの言及

【形質転換】より

…それによって,DNAの遺伝情報が次代の細胞に伝達される。入ったDNA自体がレプリコンrepliconである場合,そのDNAは容易に安定化する。レプリコンとは,その分子内に複製に必要な構造(DNA複製酵素が認識して複製を開始する部位)を持っているもので,例えば細菌の環状DNAはレプリコンである。…

【染色体】より

…成熟分裂では第1分裂に入る前の中間期にDNAの複製が行われ,第1分裂と第2分裂の間では複製が起きない。 原核生物ではふつう一つの染色体が一つの複製単位,すなわちレプリコンrepliconを構成しており,複製開始点が染色体あたり1個しかない。これに反し,真核生物の染色体は多数の複製開始点をもち,それと同数のレプリコンから構成されている。…

【DNA複製】より

…1.4mmの染色体を複製するのに約40分かかる。 大腸菌の染色体のように,一つの複製開始点をもち,そこからの複製開始を制御する一群の因子を伴う複製単位としてのDNAをレプリコンrepliconと呼ぶ。ウイルスやプラスミドのDNA,あるいはミトコンドリアや葉緑体に含まれるDNAもまたレプリコンであり,それぞれ独特の制御をうけている。…

※「レプリコン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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