レーダー偽像(読み)れーだーぎぞう(その他表記)rader false image

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レーダー偽像」の意味・わかりやすい解説

レーダー偽像
れーだーぎぞう
rader false image

物標が存在しないのにレーダー上に現れる像。レーダー偽像が発生する原因には、次のような場合がある。(1)多重反射偽像 船の近辺に強く電波を反射する物標があり、その物標と自船との間で何回も電波が反射すると、その反射ごとに偽像が発生する。(2)船外構造物の鏡現象による偽像 橋などの物標に反射した電波が他の物標、すなわち二次反射体に当たり、二次反射体からの電波がもう一度橋から反射してアンテナに受信されることから生じる偽像。(3)船内構造物の反射による偽像 マスト煙突などに電波が反射して二次反射体に当たり、その電波がさらにマストや煙突経由でアンテナに受信されることで生じる偽像。(4)サイドローブ偽像 レーダー電波はアンテナの向いている方向の外側にも漏れて放射される。これをサイドローブとよぶ。サイドローブの到達範囲内に強い反射体があるとき、偽像が発生することがある。(5)第二掃引(そういん)偽像 電波が通常の伝搬より異常に遠方まで到達することがある。この場合、通常レーダーで探知されない遠方の物標が、近距離の映像として現れるのをいう。

[飯島幸人]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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