日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロンバルドゥス」の意味・わかりやすい解説
ロンバルドゥス
ろんばるどぅす
Petrus Lombardus
(1095?―1160)
イタリア、ロンバルディア出身の神学者。パリの司教座聖堂付属学校で教え、のちパリの司教となった。4巻からなる『命題集』Libri Quatuor Sententiarumの著者として名高い。この著作は一般に認められた神学の教科書で、教義に関する教父の命題を集め、1巻は神、2巻は被造物、3巻は託身と救済と徳、4巻は七つの秘蹟(ひせき)Sacramentaと四終(死、審判、天国、地獄)を扱っている。内容は折衷的で独創性はないが、この『命題集』を注解することが神学の学位取得の準備として要求され、また多くの著作家が『命題集』を注釈することによって教義の包括的で体系的な説明を目ざすようになった。16世紀後半までに数多くの『命題集注釈』(ボナベントゥラ、トマス・アクィナスのものが著名)が現れたが、本書の与えた影響は大きい。
[宮内久光 2015年2月17日]