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天国 てんごくheaven

翻訳|heaven

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

天国
てんごく
heaven

一般には天上にあるとされる理想的世界をさす宗教的観念。ギリシア語の hē basileia tōn ouranōn (Kingdom of Heaven) の訳語であるが,新約聖書ではこの語は神の国の言い替えであり,両者は同じ意味をもつ。元来神の国はイエスの宣教に出る観念で,メシア待望思想とともにユダヤ教の終末思想の系譜に属し,神の意志と力の支配のもとに義と恵みの満ちる未来の世界をさしていたが,この未来性が審判の観念と結合して個人の生涯に転釈され,正しい生活をおくった信徒の霊が死後永久の祝福を受ける場所をいうようになった。しかしまた必ずしも死後に限らず,神の支配が完全に行われるところとして,人間の心のなかにも天国が存在するとする考え方もある。イエスの宣教した天国,すなわち神の国の福音の解釈については,その実現をすでに現在のうちにあるとするものと,終末的末来にあるとするもの (A.シュバイツァーら) で議論が分れる。天国は paradiseの訳語とされる場合もあるが,これは死者が永遠の幸福を受ける場所であり,同様の観念は古代ギリシア,インド,イスラムなどの多くの宗教圏においてみられ,この場合は普通地獄に対する観念とされている。

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デジタル大辞泉の解説

あまくに【天国】

8世紀初めごろ大和にいたという刀工。刀工の祖とされる。また、その製した刀剣。

てん‐ごく【天国】

神や天使などがいる天上の理想世界。キリスト教では、神から永遠の祝福を受ける場所。神の国。⇔地獄
そこで暮らすものにとって、理想的な世界。何にも煩されない、快適な環境。楽園。「野鳥の天国」「歩行者天国

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百科事典マイペディアの解説

天国【てんごく】

一般に天上にあると観念される神的世界。転じて理想郷,楽園の意にも用いられ,地獄と対照される。聖書的宗教(ユダヤ教,キリスト教,イスラム)の他界観に重要な地位を占め,英語kingdom of heaven,paradiseなどの訳。
→関連項目他界

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

天国 あまくに

?-? 飛鳥(あすか)-奈良時代の刀工。
大宝(たいほう)(701-704)のころ大和(奈良県)にすんだといわれ,平氏の宝刀小烏丸(こがらすまる)の作者とつたえられる。史実は不明で,刀鍛冶(かじ)の祖であるとか平安時代の人であるとかさまざまな説がある。

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世界大百科事典 第2版の解説

てんごく【天国】

一般に,天上にあるとされる神的世界をいう。比喩的に至福の理想郷=楽園の意で用いることもあり,その場合はしばしば地獄と対比される。特にユダヤ教,キリスト教,イスラムの伝統における他界観念として重要で,〈天国〉の語もkingdom of heavenの訳である。また,パラダイスparadise(ペルシア語pairidaēzaに由来し,原義は〈囲われた場所〉ないし〈園〉で,〈エデンの園〉とも同一視される)や,〈神の国kingdom of God〉と同じ意味で使われることも多い。

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大辞林 第三版の解説

あまくに【天国】

刀工。大宝年間(701~704)大和宇多郡に住し、日本刀工の祖と伝える。在銘の作は現存しない。平家重代の小烏丸(無銘、現御物)の作者と伝えられるが、真実であれば平安時代の刀工となる。

てんごく【天国】

〔明治期には「てんこく」とも〕
神や天使が住む、天上の理想郷。キリスト教・イスラム教では、信仰を貫いた者が死後に赴き永生を得る所とする。神の国。 ↔ 地獄
理想的な世界。悩みや危険のない楽しい所・環境。 「子供の-」 〔「改訂増補哲学字彙」(1884年)に、英語 Kingdom of heaven の訳語として載る〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

天国
てんごく
heaven英語
cielフランス語
Himmelドイツ語

天上にあるとみなされる理想的な世界。来世の世界、他界とされ、現世または地獄に対して用いられることが多い。
 死者の赴く世界として、暗い地下の世界が考えられたが、他方では明るい天上の世界も考えられてきた。後者のなかに、北欧神話の神オーディンOdinの宮殿であり英雄の住むところとされるワルハラValhalla、古代メキシコでは貴族の生まれるところとされる「太陽の都」などがある。ここには天国を、ただ死後の生命の存続するところとみるばかりでなく、生前の社会的地位を反映したり、社会への貢献に対する報酬がみられるところとする考え方がある。[鈴木範久]

選ばれた者の楽園

やがて、それに倫理性が加えられると、善人の赴く天国は、悪人の落ちる地獄からは、いっそうはっきり区別される。古代ギリシアのエリシオンElysionは死後善人の住む世とされている。古代エジプトの宗教やペルシアのゾロアスター教においては、死者は生前の行為に従って審判にかけられ、天国か地獄かのいずれかに行くことを定められた。ところで、この世においては、悪人が栄えるのに反して善人が不幸にあうことがしばしばあり、神ははたして公平なのかという疑問が生じる。天国の観念は、そのような問いかけに対し、一つの有力な解答を与えるものであった。キリスト教やイスラム教の天国や、仏教の浄土信仰における極楽は、倫理的に優れた人が行くところだけではなく、なんの善行がなくても、幼児のような「信」さえあればよい、との思想も展開している。
 天国においては、神とともに、霊魂または再生した体で住み、自ら神になる場合もある。そこでは美しい花々が咲き乱れ、清らかな水が流れ、たえなる音楽が聞こえる。感覚的にも楽園、理想郷として描かれることが多い。一般に暑熱地帯では「涼しい風」、乾燥地帯では「清らかな水」がうたわれていて、生前に居住する地域で憧憬(しょうけい)されるものが描写されている。
 天国は、このように、神々が住み、死者のなかでも英雄や善人や信仰厚い信者の住むところとされ、人間の死の問題に大きな答えを与えているが、同時に、それが現世での生き方も定めることになる。もし天国がなかったとしたならば、現世では、もっと刹那(せつな)的、享楽的に生きる人が多く出ることになろう。[鈴木範久]

天国の建設と世直し願望

進んだ宗教思想においては、天国は、かならずしも来世に求められるものではなく、この同じ時間の未来に出現が期待されたり、人々の心の内部にあるものとされる。キリスト教で、ときに「神の国」と同一視される天国は、このような世界である。
 天国を、他界はもちろん、遠い未来や心のなかの世界に求めるのでなく、現実のこの世に実現させようとする「神の国」運動もみられる。中国における太平天国運動は、洪秀全(こうしゅうぜん)を指導者として「太平天国」を地上に建設することを図った運動である。大本(おおもと)教では、教祖の出口ナオは「三千世界」の立て替えを説き、それから分かれた世界救世教の岡田茂吉(もきち)も、熱海(あたみ)に「地上天国」といわれるものを打ち立てた。天国をこの世に建設しようとする運動は、人々の世直しの願いを反映するものである。そのため、時の体制からは弾圧を受けることが多い。しかし、現実に建設することがたとえ困難であったとしても、そのような運動が新しい社会と時代とをもたらす口火になる役割はよくみられる。[鈴木範久]

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世界大百科事典内の天国の言及

【最後の審判】より

…昇天図の下辺に,よみがえった人々(《コリント人への第1の手紙》15:52)も小さく付加して,この原始的な審判図は形成されたといえる。これに後になって必要な要素,すなわち十字架,大天使ミカエル,善人の群れと悪人の群れ,天国地獄などが加えられ,中央高所に君臨する審判者キリストを中心に構図を作って,本格的な〈最後の審判〉図像が実現される。 このような審判図像について,その主となった典拠が《マタイによる福音書》によるものと,《ヨハネの黙示録》20章によるものとの2者に大別され,さらに2者の混合したものがあらわれる。…

【地獄】より

…また新約聖書にはゲヘナのほかにギリシア以来のハデスの語も用いられているが,これはもっぱら死者の霊の赴くところとされ,ゲヘナが悪しき者に永遠の刑罰を加える場所とされているのと好対照をなしている。 キリスト教の地獄の観念を体系化し,それに感覚的な肉付けを行ったのはカトリック神学であるが,とりわけ地獄と天国のあいだに煉獄(れんごく)を設定したところに特徴がみられる。煉獄は死者が一時的な浄(きよ)めのために赴くところであるが,このような地獄―煉獄―天国の三界遍歴を主題にした宗教文学の代表がダンテの《神曲》である。…

【他界】より

…これによって,死後の生という経験的に立証することのできない事象が,人々の心象世界のなかにある種の実在感をもって根をおろすことができるのである。仏教やキリスト教のような組織宗教の場合には,こうして呈示される他界のイメージは,天国極楽にしても地獄にしても,一応の一貫性をもっているが,組織化の進んでいない宗教や民間信仰の場合は,互いに矛盾するいくつものイメージが共存していることが多い。たとえば日本の民俗宗教においては,山岳の頂きを他界の在所とする山上他界観や,海の彼方に他界があると考える海上他界観,あるいは洞窟などを他界の入口とみなすような地中(地下)他界観が併存している。…

※「天国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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