ローセル(英語表記)Laussel

改訂新版 世界大百科事典 「ローセル」の意味・わかりやすい解説

ローセル
Laussel

フランス南西部,ドルドーニュDordogne県にある旧石器時代の遺跡。1894年にフランスのリビエールE.Rivièreが,1908-14年にフランスのラランヌJ.G.Lalanneが発掘し,4個の女性浮彫(いわゆる〈ビーナス像〉)と1個の男性浮彫が出土した。有名な〈角杯をもつビーナス像〉(高さ40cm)をはじめ,女性浮彫はすべて裸で,乳部,腹部臀部が著しく強調されている。二つの頭部が反対方向を向く像について,ラランヌは性交または出産をあらわすといい,S.ギーディオンは両性具有像であるという。女性的特徴が誇張された浮彫は,落盤した岩に囲まれた秘められた場所から見いだされていることから,多産および豊猟という呪術的目的でつくられたと考えられる。浮彫はペリゴール期のものとされるが,出土状況が明らかでないことと,ソリュートレ期の浮彫技法を示していることから,制作時期ははっきりしない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のローセルの言及

【先史美術】より

洞窟美術
[岩陰美術]
 岩陰美術(浮彫)はフランス南西部のドルドーニュ地方とシャラント地方に多い。オーリニャック期のものとしてはローセルの数点の女性裸像があり,これは乳房,腹,臀が著しく強調されて,出産の呪術に関連すると考えられる。ソリュートレ期はル・ロック・ド・セールの,圧倒的な量感を示す諸動物の浮彫があり,その大部分は身重の雌である。…

※「ローセル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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