ベンゼンC6H6のアルキル置換体の総称。ベンゼン環にアルキル基が結合した芳香族炭化水素をいう。アレーンareneともいう。アルキル基の数に応じてモノ、ジ、トリ、テトラアルキルベンゼンのようによばれる。メチル置換体には慣用名があり、たとえばトルエンC6H5CH3(メチルベンゼン)、キシレンC6H4(CH3)2(ジメチルベンゼン)、メシチレンC6H3(CH3)3(トリメチルベンゼン)、メリテンC6(CH3)6(ヘキサメチルベンゼン)などである。合成は、ベンゼンとハロゲン化アルキルを無水塩化アルミニウムAlCl3を触媒にして反応させるフリーデル‐クラフツ反応とか、相当するケトン類RhCORのカルボニル基Oをメチレン基-CH2-に還元するクレメンゼン還元などによる。反応性はアルカンとベンゼンの両方の性質を有する。用途は広く、有機合成の出発原料になるが、合成洗剤工業の中核となるのもアルキルベンゼンである。
[向井利夫]