アロヨ政権(読み)あろよせいけん

知恵蔵 「アロヨ政権」の解説

アロヨ政権

フィリピン大統領エストラダの失権で、副大統領だったアロヨが新大統領に昇格して2001年1月に発足。エストラダの残りの任期(〜04年)を務める。04年5月に実施された大統領選挙でアロヨは国民的映画俳優のフェルナンド・ポーを破り当選したが、05年夫や息子が違法ギャンブル「フエテン」運営にかかわっているとの疑惑が浮上したことに加え、大統領選挙での「開票操作疑惑」会話内容を暴露され、窮地に陥る。野党による弾劾裁判開始の試みは実を結ばなかったが、06年2月海兵隊兵士などによるクーデターの動きが表面化。アロヨは国家非常事態宣言によってその動きを押さえ込んだ。出稼ぎなどによる海外送金が着実に増加していることもあり、07年のGDPは7%を超える高い伸びをみせた。しかし、マクロ経済指標では好転したものの、国民間の経済格差・貧困問題は深刻で、大統領の親族らが関与する汚職疑惑が絶えず、07年11月にも国軍不満派の決起騒動が起きるなど政権の大きな不安定要因となっている。

(片山裕 神戸大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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