日本大百科全書(ニッポニカ) 「アロヨ」の意味・わかりやすい解説
アロヨ
あろよ
Gloria Macapagal Arroyo
(1947― )
フィリピンの政治家。マニラ生まれ。ディオスダド・マカパガル元フィリピン大統領の長女。アテネオ大経済学修士、フィリピン大経済学博士課程修了。アメリカ・ジョージタウン大学留学時代はクリントン前米大統領と席を並べた。1986年、アキノ政権下で貿易産業次官。1992年、上院議員に当選し、1995年、再選。1998年5月には副大統領に当選し、エストラダ大統領とともに政権の舵(かじ)をとった。
しかし、エストラダ大統領の汚職疑惑が浮上して以降、反大統領姿勢を強め、閣僚ポストを辞任し野党勢力を結集。2001年1月、エストラダが退陣に追い込まれると、副大統領から新大統領に昇格した。「貧困撲滅」を最大公約としたが、大統領就任直後に夫ホセ・ミゲルJose Miguel Arroyo(1945― )の資金洗浄(マネー・ロンダリング)疑惑が明るみに出た。「お高くとまっている」とのイメージも加わり人気は低迷したが、2004年5月の大統領選で再選を果たした。再選後は政権安定を目ざし、大統領公選制から議院内閣制への移行、連邦制導入に向けた改憲作業を進めていたが、2010年の大統領選挙でアキノ元大統領の長男、ベニグノ・アキノ3世Benigno Simeon Cojuangco Aquino Ⅲ(1960―2021)に敗れた。
[相原 清]