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イブン・アンナフィース Ibn al‐Nafīs

世界大百科事典 第2版の解説

イブン・アンナフィース【Ibn al‐Nafīs】

1208ころ‐88
中世アラブの医者。ダマスクスに生まれ,カイロで死んだ。イブン・アッダフワールIbn al‐Dakhwārについて医学を学び,カイロの病院長を務めた。ヒッポクラテス,フナイン・ブン・イスハーク,イブン・シーナーの注釈書を著す。重要なものは《医学典範》の2種の注で,一つは《典範要綱》,とくにそのラテン語訳の《Compendium medicinae》が知られる。他の一つは《イブン・シーナー解剖学注解》で,この書で彼は〈右心室と左心室との間にある目に見えぬ隔壁の隙間より血液が流れる〉というガレノス以来の誤りを退け,16世紀のセルベトゥスに先立って正しい肺循環の考えを提起した。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内のイブン・アンナフィースの言及

【血液循環】より

…それ以前は血液が右心室から左心室へ,目に見えない隔壁を通して流れるという,ガレノスの血液学説が信じられていた。しかし13世紀にアラビアではイブン・アンナフィースが肺循環について記載しており(《典範綱要》),おそらくこれがラテン語訳されてヨーロッパに伝えられ,16世紀にM.セルベトゥスにより,改めて肺循環説が提起された(《キリスト教の復活》)。またA.ベサリウス,R.コロンボは心臓の構造と肺循環の存在を明らかにし,A.チェザルピーノは体循環についても示唆し,ハーベーの血液循環説の前駆となった。…

【セルベトゥス】より

…ほかに聖書翻訳,プトレマイオスの校訂,天文学上の著述があるが,医書がもっとも好評であった。血液の肺循環の発見者として医学史に名を残すが,最近の研究では13世紀のアラビアの医者イブン・アンナフィースが先行するとの説も出されている。異端審問を避けてカルバンのいるジュネーブに行ったが逮捕され,裁判を経て焚刑に処せられたが,これは信教の自由の論議を起こす一つの機会をつくった。…

※「イブン・アンナフィース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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