イスラムの二大祭を指す。トルコ語ではバイラムbairamという。これらのうちイード・アルフィトル`īd al-fiṭr(断食明けの祭。トルコでは小祭ともいう)は,断食月のラマダーンに続くシャッワール月の1日から3日までイスラム世界全土において盛大に祝われる。イード・アルアドハー`īd al-aḍḥā(犠牲祭。トルコでは大祭ともいう)は,巡礼月のズー・アルヒッジャ月の10日から13日にかけて4日間続く。10日はメッカ巡礼の最後に当たり,巡礼者は動物犠牲を捧げるが,これに合わせてイスラム世界では各家庭でいっせいに犠牲を屠る。祭日期間中人々は晴着を着て外出し,相互に訪問しあったり祝いの言葉を交わして喜びあう。遠方の知人・友人には,この際に祝いのカードを送るのがならわしである。
執筆者:飯森 嘉助
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…しかし,それも創始者の理想に反して,現在の使用範囲はごく限られている。〈エスペラント〉の改良案として作られた〈イードIdo〉(エスペラントで〈後継者〉の意。1907年にL.deボーフロンが発表)も成功しなかった。…
…
[生活と文化]
ムスリムの生活は,複数の暦をもとにして営まれた。イードと呼ばれるイスラムの二大祭(断食明けの祭と犠牲祭),あるいは預言者の生誕祭(マウリド)などはヒジュラ暦に従って催されたが,農事や地租の徴収は各地に固有な太陽暦によって行われた。たとえばエジプトではナイルが増水する8月末を年初とするコプト暦が使われ,またシリアでは秋を年初とするシリア暦が,イラクやイランでは春分(ノウルーズ)を年初とするペルシア暦が用いられた。…
…巡礼が無事に行われるかどうかは,信徒全体にかかわる問題だったのである。 断食と巡礼の行事に合わせ,イスラムの二大祭であるイード・アルフィトル(断食明けの祭り)とイード・アルアドハー(犠牲祭)が催される(イード)。犠牲祭では,メッカ巡礼者が10日の日に動物犠牲をほふるのに呼応して,全イスラム世界で羊がほふられ,食卓にのせられる。…
※「イード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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