今では外出着の意味に用いるが,本来はハレの日に着る着物で,礼装,式服,正装,盛装,忌衣などの意味に用いる。祭日や冠婚葬祭,誕生から成人式までのたびたびの祝日や年祝の日は,ふだんとは違うハレの日で,その日に着る着物が晴着である。ハレの日に対して普通の日をケ(褻)といったが,この語は早くすたれて,日常の着物は常着,ふだん着,野良着などと呼んでいる。地方によっては,節日に着る着物という意味で,晴着を〈せつご〉(東北地方),〈盆ご〉〈正月ご〉〈祭ご〉(和歌山,兵庫,岡山,香川),また生児の〈宮まいりご〉(岡山),娘の〈かねつけご〉(岐阜),嫁入りの〈よめりご〉(岡山),年祝の〈やくご〉〈祝いご〉(香川,鳥取,岡山)ともいった。〈ご〉は着物のことである。仙台地方で餅食(もちくい)衣装というのは,祭日には晴着を着てハレの食事をするからである。東北地方で〈せつもん〉というのは,正月の晴着にする新衣で,ゆとりがあれば1~2年はしまっておくが,多くはそのまま冬着にする。晴着は常着と衣料や形に変わりはないが,浄衣であることが必要な条件である。帯祝,袴着(はかまぎ),三つ身祝,四つ身祝には,それぞれの年齢にふさわしい新しい制服が晴着である。晴着は,このようにきわめてひろい意義をもつが,きびしい意味の正装,忌衣には二,三の特色のあることが認められる。第1は頭をおおうことである。葬式に〈かつぎ〉や,綿帽子や,きれでつくった〈おかざき〉(北陸地方)や,〈ふなぞこ〉(四国)または一片の白布をかぶり,白紙を三角に折ったものを額にあてることなどがそれである。婚礼にもかぶり物が重要視され,花嫁の角隠しは最も新しく,現代も用いられているが,それ以前に綿帽子や〈おかざき〉〈ふなぞこ〉〈かつぎ〉などがあって,かぶり方をやや変えるだけで,吉事にも凶事にも共用する。田植の手拭,宮まいり児の鉢巻,祭りのみこしかきの鉢巻,踊子の鉢巻も晴着のかぶり物で,参拝にも客前に出るにも,かぶり物をかぶるのが作法であった。つまり現代の脱帽の礼の中に,晴着の着帽の礼が残っているわけである。男子の元服を烏帽子(えぼし)着,〈よぼしぎ〉という風はほとんど全国的であるが,烏帽子は斎(いみ)帽子でこれをつけることは,神事に参与する一人前の資格のできたことを意味していた。ところが今日の帽子は,多くの場合これを取り去るのが礼儀である。たすきと帯も正装の一要件であったことは,祭りや舞踊のとりだすき,田植のたすき,葬事のなわ帯,なわだすき,正式食事の給仕人のたすき等にもみられる。晴着に帯がたいせつであることは,婿方から嫁方に贈る結納を帯代(おびしろ)ということによっても察せられるが,むね上げの祭りにも帯を飾り,また村祭の頭人の妻や稚児(ちご)が帯をもって参加する例もある。さらに宮まいり,婚姻,葬送の際にとくに前代的な前結びにした前帯をつけて,帯の重要性が強調されているのをみる。
執筆者:瀬川 清子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…英名はtrue elephant。アフリカゾウ属Loxodonta(アフリカゾウ(イラスト)など),ナウマンゾウ属Palaeoloxodon(ナウマンゾウ,ナルバダゾウなど。ときに前属の異名とされる),アジアゾウ属Elephas(インドゾウ(イラスト),セレベスゾウなど),マンモス属Mammuthus(マンモス,テイオウマンモスなど)の4属があり,アフリカゾウ(マルミミゾウを含む)とアジアゾウだけが現生する。…
※「晴着」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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