エフェソス物語(読み)エフェソスものがたり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エフェソス物語」の意味・わかりやすい解説

エフェソス物語
エフェソスものがたり

ギリシアの小説。別名『アンテイアとハブロコメス物語』 Ta kata Antheian kai Habrokomēn Ephesiaka。2世紀頃のクセノフォン・エフェシオスの作とされる。 10巻と伝えられる原作からの抜粋によって現在の5巻が成立したと考えられる。アンテイアとハブロコメスは結婚の約束をかわした仲であったが,アポロン神託に従って旅に出る。その途次海賊に襲われ捕われの身となって別れ別れになってしまう。船は難破し,2人は生死の境をさまよう。やがて苦しい奴隷の日々,互いの貞節を守り抜いた2人はさまざまな冒険ののち,イシス神殿で再会する。筋立てはギリシア小説一般に認められるように,なんらの内的必然性を伴わず,性格描写も希薄であるが,原作者の意図はイシス教の教儀を物語として展開し,神威のあらたかさを賛美することにあったと解釈する向きもある。

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