エレクトラ・コンプレクス(読み)エレクトラコンプレクス

百科事典マイペディア の解説

エレクトラ・コンプレクス

娘が父を愛し母を憎む無意識な心的表象アガメムノンの娘エレクトラにちなむ精神分析用語。→エディプス・コンプレクス

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のエレクトラ・コンプレクスの言及

【エディプス・コンプレクス】より

…両親の不安定な養育や偏頗(へんぱ)な愛情が,子どものエディプス・コンプレクスを不当に強化することは自明のことであろう。なお,女性のエディプス・コンプレクスをとくにエレクトラ・コンプレクスElectra complex(ユングの造語)ともいう。【下坂 幸三】。…

【エレクトラ】より

…アイスキュロスの〈オレステイア三部作〉,ソフォクレスおよびエウリピデスの《エレクトラ》などの悲劇作品でよく知られる。フロイトは娘が父親にいだく無意識的な思慕をエレクトラ・コンプレクスと命名した。R.シュトラウスのオペラ《エレクトラ》(台本ホフマンスタール,1909初演)も有名。…

【オレステイア三部作】より

…女神の説得をいれて和解し,この都に市民の間の抗争による災いがないように祈るコロスは,一族ののろいの解決とポリス社会の問題解決とが同じであることを示しているといえよう。フロイトはこの話から母を憎み父を愛する女性心理エレクトラ・コンプレクスという用語を作った。エレクトラ劇の翻案は古代から多く,ソフォクレス(前411ころ),エウリピデス(前413ころ),ホフマンスタール(1903),ジロドー(1937)の同名の劇,オニールの《喪服の似合うエレクトラ》(1931)などがあり,ほかにエウリピデスの《オレステス》(前408),サルトルの《蠅》(1943)などもこの劇に取材している。…

【近親相姦】より

外婚制【末成 道男】
[フロイトの理論と犯罪学的知見]
 精神分析学者S.フロイトは,3~5歳の年齢に達した男児は,母親に対して性愛的感情を抱き,それゆえライバルとみなされる父親に敵意を感じるとして,これをエディプス・コンプレクスと名づけた。女児ではこれと反対に,父を愛し母を憎むので,エレクトラ・コンプレクスという。これらの命名はいずれもギリシア悲劇に由来するものであるが,それはフロイトがこの二つの近親相姦コンプレクスを人類に普遍的なるもの,すなわちだれでも幼児期に体験し,やがて無意識の底に抑圧されるものと確信していたからである。…

※「エレクトラ・コンプレクス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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