日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
オークランド・アスレチックス
おーくらんどあすれちっくす
Oakland Athletics
アメリカのプロ野球球団。アメリカン・リーグ所属(西地区)。フランチャイズをカリフォルニア州オークランドに置き、マカフィー・コロシアムを本拠地としている。球団名の変遷は、フィラデルフィア・アスレチックス(1901年)―カンザスシティ・アスレチックス(1955年)―オークランド・アスレチックス(1968年)。
ミルウォーキーにあったマイナー・リーグ球団の監督コニー・マックに球団所有権の一部が与えられ、そのチームをフィラデルフィアに移して1901年のアメリカン・リーグ誕生と同時に加盟させた。オーナー兼監督のマックは1950年まで指揮を執り、監督として歴代1位の3731勝をマークした。1902年に初優勝。しかし、ワールド・シリーズが開催されるのは1903年からであった。1905年にもリーグ優勝したが、初出場のワールド・シリーズではニューヨーク・ジャイアンツ(現サンフランシスコ・ジャイアンツ)の前に敗れた。チーフ・ベンダーChief Bender(1884―1954)とエディー・プランクEddie Plank(1875―1926)の両エースに名二塁手エディー・コリンズEddie Collins(1887―1951)らの活躍で、1910年、11年、13年にワールド・シリーズを制し、14年もリーグ優勝した。1925年に、「ダイナマイト・キャッチャー」とよばれたミッキー・カクレーンMickey Cochrane(1903―62)、強打者ジミー・フォックス、左腕投手レフティー・グローブが同時にデビュー。1929年からリーグ3連覇し、最初の2年はワールド・シリーズで優勝した。1955年からフランチャイズをカンザス・シティに移し、68年からはさらにオークランドに移転。本拠地はオークランド・アラメダカウンティ・コロシアムとなる。両リーグ2地区制となった1969年からは西地区に配属された。強打者レジー・ジャクソン、エースのキャットフィッシュ・ハンターCatfish Hunter(1946―99)、抑えの切り札ロリー・フィンガースRollie Fingers(1946― )らを中心に、1971年から5年連続地区優勝。その間、1972年からは3年連続でワールド・シリーズを制した。1981年はストライキで前、後期制となり、前期優勝して後期優勝のカンザスシティ・ロイヤルズと5試合制の地区優勝決定プレーオフを戦い3連勝。だが、ニューヨーク・ヤンキースに敗れてリーグ優勝はできなかった。1986年シーズン途中からトニー・ラルーサが監督に就任。ホセ・カンセコJose Canseco(1964― )とマーク・マグワイアの強打コンビを中心に強力打線を形成した1988年から3年連続リーグ優勝。翌89年にはワールド・シリーズも制した。1992年にも地区優勝。両リーグ3地区制が導入された1994年からも西地区所属となった。本拠地をネットワーク・アソシエイツ・コロシアムへ改称した1999年にティム・ハドソンTim Hudson(1975― )、2000年にマーク・マルダーMark Mulder(1977― )とバリー・ジートがデビューして先発投手三本柱がそろうと、打撃陣ではジェイソン・ジアンビ、ミゲール・テハーダなどが活躍。2000年、02年、03年と地区優勝したが、いずれもリーグ優勝はできなかった。2004年、05年はともに2位。
[山下 健]
2006年以降
2006年は3年ぶりの地区優勝を果たしたが、プレーオフでデトロイト・タイガースに敗れ、リーグ優勝はならなかった。2007年は勝率5割を切り、3位。なお、日本人選手では藪恵壹(やぶけいいち)投手(2005年)がプレー。
1901年から2007年までの通算成績は、8039勝8498敗、地区優勝14回、リーグ優勝15回、ワールド・シリーズ優勝9回。
[編集部]
『マイケル・ルイス著、中山宥訳『マネー・ボール――奇跡のチームをつくった男』(2004・ランダムハウス講談社)』