カメレオン水(読み)カメレオンすい(英語表記)chameleon solution

改訂新版 世界大百科事典 「カメレオン水」の意味・わかりやすい解説

カメレオン水 (カメレオンすい)
chameleon solution

元来は,マンガン酸塩MnO42⁻の緑色溶液のこと。分析試薬として用いられる。希釈または酸性にすると過マンガン酸塩MnO4⁻を生じ,赤紫色を呈するが,アルカリ性にすることにより,再びマンガン酸塩となって溶液は緑色となる。この様相が,あたかもカメレオンの保護色のように変化しやすいのでこの名称を与えられた。医・薬学の分野では,赤紫色の過マンガン酸カリウム水溶液KMnO4をカメレオン水と称することもある。過マンガン酸塩は,酸性水溶液中で強い酸化力をもち,多くの有機物や還元性無機物質と反応して赤紫色が直ちに脱色して,ほとんど無色のMn2⁺になる。消毒殺菌剤としても用いられる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカメレオン水の言及

【過マンガン酸カリウム】より

… 酸化剤,分析試薬(過マンガン酸塩滴定など),殺菌消毒剤,有機合成剤,漂白剤などとして用いられる。水溶液は反応により色が変わりやすいので医薬学の領域ではカメレオン水と呼ばれている。【近藤 幸夫】。…

※「カメレオン水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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