シアニン色素(読み)シアニンシキソ

化学辞典 第2版 「シアニン色素」の解説

シアニン色素
シアニンシキソ
cyanine color

代表的な写真用増感色素で,下記の基本骨格をもち,両端のN原子は複素環の構成原子となっている.

ここで,nは0または正の整数である.構造は下図の一般式で表され,YはCH=CH,O,S,Se,NRなどを,Rはアルキル基を,Xはハロゲンを示す.

共役長鎖,複素環および置換基をかえることにより,多数のシアニン色素が合成されているが,1~2の例を示す.

少数のものはアクリル繊維の染色や医薬品として使われている.染料としては,複素環がキノリン環,チアゾール環,オキサゾール環のものがあるが,耐光性はあまりよくない.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のシアニン色素の言及

【増感色素】より

…このようにして乳剤の感光する色光の領域を広げることを分光増感,あるいはスペクトル増感spectral sensitizationというが,分光増感の発見によって青から黄の色光に感ずるオルソ乾板,オルソフィルム,また可視域全般に感ずるパンクロ材料が製造されるようになった。 写真乳剤の分光増感に使われる色素でもっとも重要なものはシアニン色素である。シアニン色素の化学構造は次の一般式で表される。…

※「シアニン色素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」