シーモノフ父子(読み)シーモノフふし

改訂新版 世界大百科事典 「シーモノフ父子」の意味・わかりやすい解説

シーモノフ父子 (シーモノフふし)

ロシア,モスクワワフタンゴフ劇場の親子2代にわたる首席演出家。父ルーベンRuben Nikolaevich Simonov(1899-1968)は俳優としても有名。同劇場の前身モスクワ芸術座第三研究劇場でワフタンゴフ弟子となる。十月革命後の新時代にふさわしい祝祭的演劇表現を模索した師の死後,その遺志を発展させようと1928-37年,自ら研究劇場をつくったりしたが,30年代にソ連芸術界に支配的になった形式主義批判のために師の教えを十分に発展させ得なかった。しかし,ある意味では知識人の希望の星でもあり続けた。

 子のエフゲーニーEvgenii Rubenovich S.(1925- )は父の教え子として演劇的出発をし,62-68年にはマールイ劇場の首席演出家をつとめ,父の死後その後をついだ。父のように形式主義批判に苦しむ時代はすでに終わっているのに,ワフタンゴフという天才の名を冠するロシア有数の劇場に昔日の栄光をとりもどすほどの演出作品は出していない。代表作は《イルクーツク物語》(1959)。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android