日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワフタンゴフ」の意味・わかりやすい解説
ワフタンゴフ
わふたんごふ
Евгений Багратионович Вахтангов/Evgeniy Bagrationovich Vahtangov
(1883―1922)
ロシアの演出家。ウラジカフカスのたばこ工場主の家に生まれる。青少年時代から素人(しろうと)劇団に加わり、モスクワ大学を中退、モスクワ芸術座の俳優たちが教えていたアダーシェフ演劇学校を経て、1911年にモスクワ芸術座に入った。スタニスラフスキーの信奉者の一人として、12年から芸術座付属第一スタジオで俳優・演出家として活躍するかたわら、13年に学生スタジオ(21年に芸術座第三スタジオ、26年にワフタンゴフ劇場と改称)を創立した。ロマン・ロランの民衆演劇論に共鳴し、新しい時代にふさわしい演劇を模索し、俳優の創造的個性とアンサンブルを重視して大胆に新形式を追求した。代表的演出はゴッツィの『トゥランドット姫』(1922)。
[中本信幸]
『ゴルチャーコフ著、高山図南雄編訳『ワフターンゴフの演出演技創造』(1978・青雲書房)』