デンマーク中道右派連合の勝利(読み)でんまーくちゅうどううはれんごうのしょうり

知恵蔵 の解説

デンマーク中道右派連合の勝利

2007年11月13日にデンマークで行われた総選挙で自由党を軸とする連立与党中道右派が改選議席179議席中94議席を獲得した(社会民主党など中道左派連合は81議席)。中道右派は3回連続の勝利となった。勝因は右派の伝統的な減税政策が奏功して、年率3%台の経済成長と4%台の低失業率を実現したことだが、それに加えて左派の社会保障重視政策を右派が取り込むことに成功、乳幼児施設や高齢者ケアなど福祉関連予算を約10%増加させたことなどが有利に働いた。高福祉を中心とする従来の左派の政策に対して有権者が信頼を失ったことも右派の勝利の背景となった。加えて、増大する移民流入のせいで福祉水準が低下することを懸念する有権者の不安心理が大きくなったと考えられる。それは極右デンマーク国民党が25議席獲得したことに見られる。北欧で中道右派政権の勝利は06年9月以後スウェーデン、フィンランドに続いて3カ国目である。

(渡邊啓貴 駐仏日本大使館公使 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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