トロバトーレ(読み)とろばとーれ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

トロバトーレ
とろばとーれ
Il Trovatore

イタリアの作曲家ベルディのオペラ。4幕。1853年ローマ初演。サルバトーレ・カッマラーノがイタリア語台本を書き進めている途上で他界したため、レオーネ・エマヌエーレ・バルダーレが完成。物語は15世紀初頭の北スペインを舞台に展開するもので、先代のルーナ伯が1人のロマ(かつてはジプシーとよばれた)の女を魔女として火刑に処したため、その娘アズチェーナは復讐(ふくしゅう)をもくろんで彼の二人息子の弟をさらうが、誤って自分の子供を殺してしまった、という過去がある。その後、アズチェーナの息子として育てられた弟マンリーコはトロバトーレ(吟遊詩人)となり、兄ルーナ伯と実の兄弟とは知らず、伯爵令嬢レオノーラをめぐって恋敵となる。そして政争に巻き込まれて互いに争い、ついに兄はレオノーラを自殺に追い込み、弟を処刑してしまうという運命悲劇。台本はけっしてよいできとはいえないが、各登場人物や各状況に応じて描き分けた創意に富む旋律によって高い評価を受け、上演される機会も多い。時代的には『リゴレット』と『椿姫(つばきひめ)』の中間に位置するオペラで、この3作によりベルディの名は世界に広まった。日本初演は1963年(昭和38)NHK招聘(しょうへい)のイタリア歌劇団。[三宅幸夫]

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世界大百科事典内のトロバトーレの言及

【イタリア音楽】より

グレゴリオ聖歌(グレゴリウス聖歌)として知られているローマ・カトリック教会の単旋典礼聖歌の体系が,7世紀のローマを中心にでき上がって連綿と伝えられてきたものとは考えがたいし,もしかしたら今日の体系(実質的には16世紀に整えられた)の中軸をなす歌の多くは,アルプス以北の諸地方で何世紀にもわたって作られてきたものかもしれないのだが,グレゴリウス1世の名は,中世以来,西方のキリスト教会の単旋典礼聖歌と結びつけられてきた。 11世紀の末ごろから南フランスで盛んになったトルバドゥールの芸術は,13世紀のイタリアでトロバトーレの活動をうながすことになり,ダンテらもその影響を受けたようであるが,トロバトーレの歌の楽譜は一片も残っていない。13世紀には,聖フランチェスコ(アッシジの)の宗教運動と結びついた,典礼外の単旋宗教歌ラウダ(賛美の意)の創作が盛んになった。…

【中世音楽】より

…その担い手は,南フランスではトルバドゥール,北フランスではトルベール(いずれも〈見いだす人〉の意),ドイツではミンネゼンガー(愛を歌う人)と呼ばれた。イタリアにもトロバトーレがいて,ダンテらもその影響を受けたらしいが,彼らの音楽は伝わっていない。13世紀には,アッシジのフランチェスコの宗教運動と結び付いた,俗語による単旋律宗教歌ラウダlauda(賛美)が中部イタリアで作られ,同じ頃スペインでは,カンティガcantiga(歌)が作られた。…

※「トロバトーレ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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