トロン電脳住宅(読み)トロンでんのうじゅうたく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トロン電脳住宅」の意味・わかりやすい解説

トロン電脳住宅
トロンでんのうじゅうたく

コンピュータにより,高度に統御された設備をもつ住宅。東京大学の坂村健の提唱した TRON理論に基づいて設計された。 1989年に東京都港区に 1000個以上のトロン・チップや数々のセンサ類が組み込まれた住宅が完成し,坂村率いるプロジェクトチームによる本格的な電脳住宅の実験が始まった。実験では,組み込まれたそれぞれのコンピュータによって各種機器を自律的に動作させるとともに,コンピュータが個々に収集した情報や動作状態などをネットワークを通してほかの機器にも送信し連動して動作させることによって,住居に警報システムや空調システムなど実用的かつ高度な機能をもたせる,また照明音響など光や音,風への自動的な対応をも可能にして住み心地のよさを高めるなどさまざまな研究が行なわれた。実験は 1993年に終了したが,こうした取り組みを通してコンピュータ・チップをあらゆる場所・物に組み込んで生活環境を最適に制御するという考えが一般に知られるようになり,その後も研究や開発が進んでいる。

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