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照明 しょうめい lighting; illumination

8件 の用語解説(照明の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

照明
しょうめい
lighting; illumination

広義には光を発し,これを利用する技術をいうが,一般には人工照明 (人工光を光源とする照明) によって明るくし,物を見やすくする技術をいう。よい照明を得るには,十分な照度があること,周囲との明るさの対比が適当であること,まぶしさを感じさせるものがないこと,書類などが光って読みにくくならないこと,人や物の色が不自然に見えないことなどの明視の条件を満たしたうえ,色彩調節を行いやすく,かつ仕事の効率に応じ経済的でなくてはならない。

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デジタル大辞泉の解説

しょう‐めい〔セウ‐〕【照明】

[名](スル)
光で照らして明るくすること。特に、電灯などの人工的な光で明るくすること。また、その光。「部屋の照明が暗い」「探照灯で照明する」「照明器具」
舞台や撮影の効果を高めるために光を当てること。また、その光。「照明効果」

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百科事典マイペディアの解説

照明【しょうめい】

広くは採光も含むが一般には人工光源による人工照明をいう。光源には多く白熱電灯,蛍光(けいこう)灯が使用され,用途に応じ適した方式が工夫されている。一般に適度の明るさをもち直射光が目に入らないことが望ましく,このため天井面に一度光を反射させる間接照明,半々に取り入れた半間接照明グローブ等を通しての拡散照明などが行われ,また光天井や壁面照明などの,面としての照明も工夫されている。

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リフォーム用語集の解説

照明

各種光源を利用して、何らかの目的をもって特定の場所を明るくする行為や機能のこと。一般的には白熱電球、蛍光灯、ランプなど、多種多様照明器具が発する光によるものを指す。光源と作業面との関係で、直接照明間接照明、半間接照明という3つに分類される。また、その種類も様々なものがあり、浴室や屋外では、防雨型などの防水のものもある。

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世界大百科事典 第2版の解説

しょうめい【照明 lighting】

照明とは,光を人間の生活に役だたせる技術である。人間の生活にはさまざまな局面があるので,照明技術も幅広い内容をもつ。照明はおおまかに次の5領域に分けられる。(1)物とその周辺を光で照らして見えるようにする照明。事務所,学校,工場などの照明がこれにあたる。(2)光を利用して人間の情緒に訴えようとする照明。レストラン喫茶店,ショーウィンドー,舞台,噴水などの照明。(3)交通信号,道路情報表示装置ネオンサインスコアボード,各種のディスプレーなどのように光源そのものを情報の伝達手段として利用する領域。

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大辞林 第三版の解説

しょうめい【照明】

( 名 ) スル
光をあてて明るくすること。 「白熱灯で-する」 「間接-」
舞台効果・撮影効果を高めるために光を用いること。また、その光。

出典|三省堂
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家とインテリアの用語がわかる辞典の解説

しょうめい【照明】

➀光で照らして明るくすること。特に、電灯などの人工光源を用いることをいう。
➁撮影や舞台効果のために光をあてること。また、その光。

出典|講談社
(C)Kodansha 2011.
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

照明
しょうめい
lightingillumination

物体や場所を光で照らすこと、および信号灯のように光源そのものを見せることをいう。人には視覚という優れた知覚があるが、これを働かせるためには照明が必要である。[東 尭・高橋貞雄]

昼光照明と人工照明

照明を光源の種類で大別すれば、昼光照明と人工照明とになる。[東 尭・高橋貞雄]
昼光照明
自然には太陽、月、星、生物発光などの光がある。しかし、照明光源として使えるのは太陽だけといってよく、これを昼光とよぶ。昼光は、直射日光、天空光および地物反射光の三つに分けて考えられる。太陽光が大気圏を透過して直接地表に到達するものを直射日光といい、大気圏を通過中に大気中の分子・塵(ちり)などの微粒子によって散乱・吸収を受け、その散乱光が地表に到達するものを天空光という。また、太陽光が地面や屋外の物体から反射して照明光になるものを地物反射光という。
 ここで三つの典型的な天候(快晴、雲のある晴れ、曇天)の日において、大阪で観測された昼光照度の時間的変化をみてみよう。直射日光の照度は快晴日に安定して高い値(真夏正午に10万ルクスに達する所もある)を示し、雲晴日(うんせいび)には雲の影響で不規則に変動し、曇天日にはほとんどゼロになる。天空光による照度は、快晴日には1万ルクス前後を7時間程度保っており、雲晴日、曇天日には、もっと高い照度を比較的安定に続けている。地物反射光は、入力である太陽光のほかに地物の反射性状が影響するために複雑に変化するが、照度値は天空光照度の10分の1程度で、せいぜい1000ルクスとみなされる。昼光照明で屋内作業をする場合は、直射日光を除いた天空光と地物反射光をあわせた光だけが頼りになる。
 昼光は窓を通して建物内へ採光される。窓には側窓(鉛直壁にある普通の窓)と天窓(屋根面にある水平な窓)とがある。側窓の大きさについては建築基準法の規定があって、住居の場合、採光に有効な部分の面積の、その居室の床面積に対する割合が7分の1以上であるように決められている。その他の建物についても、「割合」がに掲げた値以上でなければならない。
 以上のように昼光利用に努めても、雨天、夕方とか、窓際から3~4メートル以上の奥では昼光照度が不足するから、屋内作業を昼光だけで行うことができず、人工照明を加えることによってその照度低下を補う必要が出てくる。[東 尭・高橋貞雄]
人工照明
人工光源による照明を人工照明という。人工光源の多くは安定した光を出すから、確実な照明設計をすることができる。現在までの人工照明の発展は著しく、家屋、ビルディング、道路、広場など、あらゆる場所に照明が行き渡っている。その結果、人間生活の場が時間的にも空間的にも大きく拡大された。以下人工照明を中心に記述する。ただし「人類とあかり」に関する歴史的記述については「灯火」の項目を参照されたい。[東 尭・高橋貞雄]

光源の変遷

光を発生するには、熱放射とルミネセンスという二つの現象がある。これらを細分すると、熱放射には物体を酸化する燃焼と、空気を排除した容器の中で物体を高温に加熱する白熱とがあり、ルミネセンスは気体内の放電と、固体・液体のルミネセンス発光とに分類することができる。
 まず「燃焼」をみれば、原人が50万年前(一説では140万年前)に火を使い始めたといわれるが、進歩は遅く、一万数千年前に生物油による油灯が現れた。日本ではろうそくが720年ごろにつくられ、洋灯として石油ランプ(1859)およびガス灯(1872)が渡来した。
 「白熱」はそのまま白熱電球の歴史である。カーボン・フィラメントを使った真空電球をエジソンが1879年に発明したことを端緒とし、ついでフィラメントはタングステンに変わり、ガス入り単コイル電球、二重コイル電球、内面艶消(つやけ)し電球、ハロゲン電球などの大きな発明が基となって、多種類の白熱電球が開発された。
 「放電」では、1855年に空気中アークによるデュボスク・アーク灯から出発し、低圧放電ではネオングローランプに次いで低圧ナトリウムランプが現れた。高圧放電では、高圧水銀ランプに次いで蛍光高圧水銀ランプが現れたが、やがてメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプが出現し、これらを総称するHIDランプ(high intensity discharge lampの略、高輝度放電ランプ)の繁栄へと展開する。また蛍光ランプでは、1938年アメリカのゼネラル・エレクトリック社等による実用的な蛍光ランプの発明以来大きく発展し、形状は棒状のほか環形、U字形、平板形、グローブ形などがあり、光色、演色性さらに大きさも多様に広がった。なかでも、蛍光ランプのコンパクト化と細管化が進み、1980年(昭和55)に白熱電球と同じ口金をもった電球形蛍光ランプが、また、91年(平成3)に管径25.5ミリメートルの高効率の高周波点灯専用形蛍光ランプ(Hf蛍光ランプという)が製品化され、それぞれ電球および従来の棒状蛍光ランプ(管径32.5または28ミリメートル)に比べて格段にランプ効率が高く照明用エネルギーの節約が図られるようになった。1990年代初頭には、長寿命の無電極蛍光ランプと無電極HIDランプが出現した。これら光源の進歩には光源を点灯するための小形・薄形・軽量の高効率電子安定器が大いに寄与している。
 「固体・液体発光」では、ELランプ(エレクトロルミネセンス)に次いで1962年に発光ダイオード(LED)が出現した。その後、白色LEDランプが出て表示に加えて照明に応用され始めた。レーザーは1959年にルビーレーザーが発明されてから、固体、液体、ガス、半導体など多種類のレーザーが開発された。
 これらをまとめれば、今日の光源界は、白熱電球、蛍光ランプおよびHIDランプという三本柱からなり、各柱は大きさ、形状、特殊性能について多様であって、照明の目的に適合した光源を自由に選択することができる。[東 尭・高橋貞雄]

照明方式

照明の仕方のことを照明方式という。これは人工照明を対象にした技術用語で、照明器具の位置と配列により、次の4方式に分けられる。[東 尭・高橋貞雄]
全般照明方式
複数の照明器具を規則的に天井面などに配列することによって、比較的一様にある値の水平面照度をつくりだす照明の仕方。部屋全体にわたってほぼ一様な照度が得られるので、もっとも一般的な照明方式である。この方式には次のようなものがある。
(1)埋込み方式(蛍光灯の連続列埋込み照明、電球などのダウンライトの照明など)
(2)じか付け方式(蛍光灯、白熱灯、HID灯、シャンデリア)
(3)システム天井方式
(4)ルーバー天井、光天井方式
 これらのうち、ルーバー天井と光天井方式を除いた各方式では、同種の照明器具をある一定間隔で天井面に取り付けるとき、その部屋の平均水平面照度は次の光束法の公式で計算できる。

ここでEは平均照度(ルクス)、Φは照明器具1台当りのランプ全光束(ルーメン)、Nは照明器具の台数、Uは照明率、Mは保守率、Aは部屋の面積(平方メートル)である。[東 尭・高橋貞雄]
局部照明方式
作業場所にのみ照度を与えるように、対象の作業に対して比較的短い距離から付加的な照明器具で照明する仕方。製図や細かい物の検査などに補助的に照明を増強することがあるが、これらも局部照明ということができる。局部照明は、次のような作業条件に推奨される。
(1)作業場所にのみ高照度が要求される超精密作業。
(2)強い指向性の光で、形やきめを見る作業。
(3)全般照明があってはならないところ。
(4)全般照明により輝度対比が低下し、見え方が悪くなった場合に、これを改善したいとき。[東 尭・高橋貞雄]
局部的全般照明方式
規則的な照明器具の配列による全般照明の代替として、作業場所の一部分を主として照明する方式。これは照明用エネルギーの合理的使用の面から考えられてきたもので、作業の行われる場所のみを局部的に高照度で照明し、それ以外の場所は、その2分の1~3分の1ぐらいの照度で全般的に照明する。作業部分とその周囲を明確に分けて照明することにより、作業にとってあまり重要でない場所の照度を減じ、照明用エネルギーの合理化を図る。[東 尭・高橋貞雄]
タスク・アンビエント照明方式
タスク・アンビエント照明方式は、1980年ごろから照明の省エネルギーとパーソナル化(個人的に自分の好みに合わせて自由に照明の明るさを加減したり、点滅すること)の理由から行われるようになった。特定の作業面(たとえば机上面)タスク灯(タスクとは作業という意味で照明では視作業のことである。タスク灯とは視作業をするための照明器具のこと)で照明をし、その周囲(アンビエント)をタスク灯による照度よりも2分の1から3分1の大きさの間接照明で照明する方式。TAL(task and ambient lighting)と略記することがある。全般照明方式に比べて、室内の明るさの分布は非均一で、照明の操作性は個別的で、パーティションを用いたワークステーションがつくりやすい。
 以上述べた照明方式は、空間に対する照度の与え方の違いによる分類であるが、照明と建築物との関係から建築化照明という照明方式がある。これは天井や壁を照明用にあらかじめつくり込んでおくもので、光源となる照明器具が見えないように建築の構造体の内側に組み込まれている。建築化照明から室内に発散される光は、最初に天井面や壁面に当たるので間接光になり、空間を柔らかく落ち着いた感じにする。そのかわり見ようとする所に光を向けることは困難で、ものを見るためというよりも空間の雰囲気づくりや、他の光源と組合わせて空間を演出することに適している。おもな手法としては、天井面を照らすものに光天井、折り上げ天井、コープ照明があり、壁を照らすものにバランス照明、コーニス照明、壁ブラケットなどがある。通常の照明器具を独立に取り付ける一般の照明方式に比べ、グレア(まぶしさ)の制御や光の空間配分、さらに見た目の美しさなどの点で優れている。
 また、野球場や屋外の大規模なスポーツ施設の照明に投光照明方式がある。これは投光器により競技面に十分な照度を与えるもので、局部照明方式には違いないが、むしろ照明の一手法とみられる。[東 尭・高橋貞雄]

照明方法

照明方式が室内の照度分布に関連した照明器具の配置をいうのに対して、照明方法は照明すべき場所や作業への光の当て方に対していう。この光の当て方は、照明器具の配光によって決まるので、むしろ照明器具配光を分類するためにいわれる場合が多い。
 照明方法は直接照明と間接照明に大別されるが、それぞれ特徴があり、これらの中間の方法として、半直接照明、全般拡散照明、半間接照明がある。[東 尭・高橋貞雄]
直接照明
発散光束の90~100%が作業面に直接到達するような配光をもった器具による照明。照度を得るには効果的だが、グレアについては視線との角度に留意する必要がある。一般に影の出方が強い。[東 尭・高橋貞雄]
間接照明
発散光束の10%以下が作業面に直接到達するような配光をもった器具による照明。残りの90~100%の光束は上向きに出ており、天井や壁の上部に一度反射してから、間接的に作業面に到達する。この照明方法の効率は、天井などの反射率に支配され、一般には低い。しかしグレアは少なく、どぎつい影も生じない。[東 尭・高橋貞雄]
半直接照明・全般拡散照明・半間接照明
これらは下向きに向かう光束の割合が、それぞれ順に発散光束の60~90%、40~60%、10~40%である器具による照明のことである。
 以上の照明方法の分類は、電球照明しかなかった時代には大きな意義をもっていたが、現在では電球以外に蛍光灯が広く普及しており、蛍光ランプだけで拡散照明ができるなど、それほど意義深いものではなくなっている。[東 尭・高橋貞雄]

照明計画

建物や場所への目的にあった照明を考え、設計することを照明計画という。照明の目的は、その空間の使用目的とそこで生活したり行動する人々の欲求によって決まる。照明計画の第一歩は、このような主観的な欲求から望ましい視環境を考察することである。望ましい視環境は、大局的には視作業性(見ようとするものがすばやくはっきり見えること)と視覚的な快適性を確保することで、両者のバランスをとることによって得られる。次に、照度や反射率、照明光源の光色や演色性、グレアの程度、影などについて検討する。このような検討を照明要素の検討という。照明要素の検討とともに空間構成、たとえばインテリアのあり方、色彩計画など、照明と密接に関係するものとの調和を図り、空間全体から各部の見え方と雰囲気の演出まで、細心の検討が行われる。
 これらの検討を基に照明方式を選定する。照明方式は光源の種類、照明器具の配光などを考え、照明器具の配列を描き出していく。この際には、空気調和や防災および非常用設備との関連も考慮する。選定した照明器具と配列で、所要の照度や照明効果が得られるかどうか照明計算を行う。算定の結果、必要な修正を行って照明案を決定する。照明効果の推定が困難な場合には、部分的な照明実験や縮尺模型による照明実験、あるいは、コンピュータ・グラフィクスを用いた照明シミュレーションを行う手法がとられる。照明設備の設備費、保守を含む運転費の算定も、広い意味の照明計画に含まれる。[東 尭・高橋貞雄]

照明の実際

照明を行う目的から、明視照明、生産照明、商業照明に大別されるが、対象場所別に住宅照明とか事務所照明などという分け方もある。ただし、両者をそれほど厳密に区別することは意味がなく、前述のように、昼光照明と人工照明というように、広く区別することもある。[東 尭・高橋貞雄]
明視照明
視作業のため、よい見え方を与える照明のこと。事務所、学校の教室、図書館などの照明は明視照明に入る。オフィスオートメーション機器の視覚表示装置(visual display terminalを略してVDTという)がオフィスに導入された場合などでは、水平面照度は、従来の机上面の作業とほぼ同様の750ルクスぐらいであるが、VDTのCRTスクリーン面に照明器具の反射像が生じないように、鉛直角60度以上の輝度を厳しく制限した照明器具が使用されることが多い。
 明視照明では、照明光源によるグレアがあってはならない。グレアには、ものの見え方を損なう減能グレアと、ものは見えるが不快感を生じる不快グレアの二つがある。事務所等では蛍光灯照明の不快グレアの防止が重要である。照明設計の段階で不快グレアの程度を計算し、その部屋に適した照明器具を選定するようにする。
 作業照明と周囲照明の調和が求められる図書室などでは、作業照明は机に装備された蛍光灯の作業灯により、500ルクスが得られ、周囲照明は蛍光灯の間接照明により、ソフトで落ち着いた雰囲気づくりが試みられている。[東 尭・高橋貞雄]
生産照明
生産性の改善に役だつとともに、安全を含めた事故の減少、品質の向上を目的とした照明。工場照明などがその例である。工場照明では、天井高さ5メートルを境にしてそれ以上ではHID灯が、それ以下では蛍光灯が一般的に使用される。HID灯は1灯当りの光束が大きいため灯数が少なくてすみ、省電力になる。照度の向上によってもたらされる効果は、生産性の向上に加えて、品質の向上と事故の減少が数えられる。
 生産現場では製品の検査は不可欠で、機械による自動化が行われているが、製品のきずや異物混入の発見、等級の判定など困難な検査には肉眼による場合が多い。検査照明では人間工学的な配慮のもとに、検査対象ごとに照度、光色、演色性、光の指向性、光の当て方等を緻密(ちみつ)に検討する必要がある。[東 尭・高橋貞雄]
商業照明
商業照明の場合は、照明は販売経費の一部とみなされる。そのため、照明計画は販売促進策の一つとして、商品の展示照明にとどまらず、空間の構成までを計画に盛り込む。一般に店舗の商業照明では、商品を高照度で展示する照明と、店内の全体照明から成り立っている。商業用の展示照明としては、1980年代の後半ころより赤外線反射膜付きのハロゲン電球と、赤外線吸収膜付きの反射鏡を組み合わせた光源が用いられる。これは照明熱を大幅に低減し、熱線を嫌う真珠、布、生鮮食品などの照明に効果をあげている。店内全体の照明は、建築と一体となって施工されることが多い。[東 尭・高橋貞雄]
住宅照明
住宅照明の役割には、ものを見るのに必要な照明と部屋の雰囲気を演出するための照明の二つがある。ものを見るには照度が大切であるが、雰囲気は照度のみならず部屋の内装や家具・調度品の色彩を生かすような光の色、演色性、光の方向、室内面の明暗、シャンデリアのような光のきらめき等が影響する。住む人の好みにあわせて照明器具とその取り付け位置をうまく選ぶようにする。基本的な照明手法としては、部屋全体を照らす基本照明、読書のようなある行為のために一部分のみを照らす局部照明、絵画などの装飾品を照らすアクセント照明の三つがある。基本照明用の照明器具には、シーリングライト(天井直付け器具)やペンダント(天井吊り下げ灯)があるが、いずれも和風と洋風タイプがある。部屋のスタイルに合わせていずれかを選定する。高齢者は若い人に比べて視覚機能が低下しているので、グレア(まぶしさ)のない良質な照明が必要である。とくに、廊下、階段、浴室、玄関などにおける段差が明確にわかるように照明器具を取り付け、必要な照度を保つようにする。[東 尭・高橋貞雄]
美術照明
美術館を特徴づけるものに、展示空間全体が暗い場合と明るい場合とがある。それによってその美術館に特有の雰囲気をつくりだす。もっとも、暗いといっても展示作品はハロゲン電球のスポットライト等で照らされ、細部までよく見えるように設計されている。また、明るい美術館は内装仕上げも明るい色で蛍光灯照明され、作品鑑賞の疲れをできるだけ軽減する効果がある。1990年代になると、個々の展示室は暗く、大展示空間やロビー、エントランスは明るくというようにハイブリッド形の美術館も現れてきた。光源として昼光は優れたものであるが、昼光に含まれる熱線と紫外線は美術品を劣化する。これらの除去は簡単ではない。そのため高演色性の光源を用いた人工照明が多用される。多くの場合、比較的小さな絵画や彫刻は熱線と紫外線をカットした光源で照明し、大きな絵画等はルーバー付き退色防止形蛍光灯器具で照明する。展示ケースの照明ではケース内の温度上昇を避けるために、ケースの外に光源を設置して石英ファイバーガラスでケース内に光を導く方法もとられる。美術品の鑑賞(照度を高くして見やすくする)と保存(照度をできるだけ低くして劣化を防ぐ)は照明にとって相いれない要求であり、どこで折り合うかについては非常に重要で慎重な検討が必要である。[東 尭・高橋貞雄]
昼光照明
窓から昼光を採り入れることは採光設計といわれ、古くから重視されてきた。自然昼光の採り入れはなにものにも替えがたいものであるが、同時に外界と建物内部を結ぶ開放感や眺望を満たすものである。窓と採光の関係では側窓採光が一般的であるが、1980年代に入ってからは、超高層ビルのような建築物に天窓のあるアトリウムatrium(中庭)が設けられ、新鮮な空間をつくりだすという試みもさかんに行われるようになった。
 採光によって生じる室内の照度(明るさ)を推定するには、設計用全天空照度と基準昼光率を使用する。設計用全天空照度とは、室内の採光の程度を予測するために定められた地表面照度のことで、屋外で光を遮るものがなにもない条件で、とくに明るい日=5万ルクス(単位記号lx)、明るい日=3万ルクス、普通の日=1万5000ルクス、暗い日=5000ルクス、非常に暗い日=2000ルクス、快晴の青空=1万ルクスと6区分されている。基準昼光率は、作業の種類や室の種類ごとに定められていて、たとえば、読書室や普通教室では2%である。そうすると普通の日の1万5000ルクスという全天空照度の条件下では、自然採光だけで300ルクス(=15,000*0.02)の室内照度が見積もられる。最低300ルクスあれば十分ではないが読書や教室の作業はできる。基準昼光率は、普通の日において人工照明がなくとも自然採光だけで、必要最低の照度が得られるという指標である。[東 尭・高橋貞雄]
投光照明
野球場などの夜間照明には、HID投光器による投光照明方式が採用される。投光器の照準は、競技面に大きな照度むらをつくらないように、かつプレーヤーにグレアを与えないように決定される。カラーテレビ放送がされる球場やサッカー場では、テレビ映像の色再現性に優れた白色の大出力高演色のメタルハイライドランプ投光器が使用される。[東 尭・高橋貞雄]
高速道路の照明
日本に本格的な高速道路照明が行われたのは、1963年(昭和38)の名神高速道路の開通以降である。当時は光源として蛍光水銀ランプと低圧ナトリウムランプ(トンネル照明用)とが用いられた。その後HID光源の進歩により、ランプ効率のよい高圧ナトリウムランプが採用されるようになった。83年に竣工(しゅんこう)した本州四国連絡橋の一つである因島(いんのしま)大橋の高圧ナトリウムランプ照明では、海中の生態系への影響を考慮して、海面に光が落ちないよう配光が制限されている。[東 尭・高橋貞雄]
空港照明
空港内の照明施設のうち、進入灯、滑走路灯および誘導路灯(航空機を所定の場所まで誘導する灯器)は操縦士の視覚援助施設であって、国際的に性能基準が定められている。光源にハロゲン電球およびキセノン閃光(せんこう)ランプが使われる。
 エプロン灯は、乗客の乗降や荷(貨)物の積み込み、積み下ろしのために、高さ15~30メートルの灯柱にHID投光器が複数個取り付けられる。[東 尭・高橋貞雄]
景観照明
都市や街の建造物を美しく照明することである。景観照明の利点は、街並みに美しさを与え、魅力的な夜間の景観をつくり出すことであるが、その街や地域の活性化やイメージづくり、観光や防犯にも役だつ。しかしながら、過剰な照明によってグレアを生じて美観を損なったり、空を明るくしすぎたりしては本末転倒になる。このような照明によるマイナス面を光害(ひかりがい)という。景観照明の対象は、ランドマーク、歴史的建造物、社寺、橋や塔などの公共的建築物、商・工業ビル、樹木などである。有名なものに東京湾に架かるレインボーブリッジ、東京タワー、京都金閣寺、大阪城などがある。景観照明の手法としては、投光照明とイルミネーション(電飾=電気の光による飾り)の二つがある。たとえば、橋の照明において主塔と橋脚を投光照明し、ケーブルを電飾する手法がとられる。これら二つの手法はまったく異なるものであるが、共通していえることは、必要以上に華美にならないことである。また、光を無駄に放つことによるエネルギーの浪費は避けねばならない。なお、ライトアップlight upという用語は、夜間に建造物を投光照明することをいう場合に使用される。
 以上いくつかの照明の実例を述べたが、照明施設の性能基準を示す尺度として照度があり、日本工業規格(JIS(ジス))に照度基準として制定されている。また、国際規格(ISO=国際標準化機構)として「屋内作業場の照明」が、2002年に制定されている。[東 尭・高橋貞雄]

照明と色彩

照明と色彩は密接な関係にあり、色彩の効果を発揮するのも照明によるところが大きい。色彩を忠実に見せる特性を演色性というが、照明光源の演色性を示す尺度として平均演色評価数(Ra)が用いられる。平均演色評価数の数値は大きいほど優れており高演色であるという。最大値は100である。色の見え方が重要な色の検査や臨床治療、美術品の鑑賞にはRaは90以上、オフィスや住宅、レストラン、店舗、学校、病院、印刷・塗装工場などでは80~90、一般の工場作業では60~80、比較的低照度の作業場所、倉庫などでは40~60、屋内・地下駐車場などは10~40が推奨される。[東 尭・高橋貞雄]

照明の省エネルギー

照明の省エネルギー対策として、次の7項目が有効である。
(1)高効率光源の採用
(2)高照明率の照明器具の採用
(3)室内面の反射率を高くする
(4)局部照明の採用
(5)昼光の利用
(6)きめ細かい照明制御
(7)保守の励行
 法律面では、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(略称省エネルギー法)において、床面積2000平方メートル以上の事務所、物品販売業を営む店舗、病院等、学校、ホテルまたは旅館の5分野の照明設備に対して、建築主の判断基準として「照明エネルギー消費係数」の算出を義務づけ、必要以上のエネルギー消費を制限している。また、「省エネルギー法」で定める施設用蛍光灯器具と家庭用蛍光灯器具に対して、総合効率(単位記号=lm/W)をカタログ等に表示するように定めている。総合効率の数値の大きいものほど省エネルギーになる。[東 尭・高橋貞雄]
『黒澤凉之助著『最新照明計算の基礎と応用』(1963・電気書院) ▽東尭著『照明および色彩』(1969・コロナ社) ▽照明学会著・刊『最新やさしい明視論』(1975) ▽照明学会編『照明ハンドブック』(1978・オーム社) ▽照明学会編『屋内照明のガイド』(1978・電気書院) ▽松浦邦男編『照明の事典』(1981・朝倉書店) ▽日本建築学会編『昼光照明の計画』(1985・彰国社) ▽照明学会編『ライティングハンドブック』(1987・オーム社) ▽ヴォルフガング・シヴェルブシュ著、小川さくえ訳『闇をひらく光――19世紀における照明の歴史』(1988・法政大学出版局) ▽笠原襄・河本康太郎著『省エネルギー技術実践シリーズ 工場照明』(1988・省エネルギーセンター) ▽照明学会編『照明用語事典』(1990・オーム社) ▽照明学会編・刊『照明技術の発達とともに 照明学会75年史』(1991) ▽照明学会編『インテリジェントオフィスの照明実態調査報告書』(1993・照明学会東京支部) ▽照明学会編『景観照明の手引き』(1995・コロナ社) ▽ヴォルフガング・シヴェルブシュ著、小川さくえ訳『光と影のドラマトゥルギー――20世紀における電気照明の登場』(1997・法政大学出版局) ▽照明学会編『大学課程照明工学』(1997・オーム社) ▽乾正雄著『建築の色彩設計』(1997・鹿島出版会) ▽小原清成著『照明をはかる』(1999・日本規格協会) ▽照明学会・技術規格JIES-008(1999)著『屋内照明基準』(1999・照明学会) ▽インテリア産業協会インテリア・コーディネート・ブック編集委員会著『高齢者のための照明・色彩計画――光と色彩の調和を考える』(1999・インテリア産業協会、産能大学出版部発売) ▽面出薫・LPA著『面出薫+LPA 建築照明の作法』(1999・TOTO出版) ▽小原清成編、大山松次郎著『あたらしい照明ノート』(2000・オーム社) ▽小泉実著『絵とき 照明デザイン実務学入門早わかり――視環境からみたインテリアライティングの技法』(2000・オーム社) ▽中島龍興著『照明「あかり」の設計――住空間のLighting Design』(2000・建築資料研究社)』

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世界大百科事典内の照明の言及

【住宅】より

…ただし,住宅の外郭は内部の生活を保護するだけでなく,敷地周辺の環境を形成する一つの要素でもあり,その意匠は周囲との調和あるいは周囲の環境の向上に寄与するものでなくてはならない。一方,内部(インテリア)の意匠は,住生活における精神的な安らぎや満足感に深く関与し,室内の雰囲気を決める床,壁,天井の材質や色彩,家具,照明,カーテン,絵画・観葉植物などの室内装飾品や室内小物など居住者自身によるくふうや演出によるところが大きい。室内の意匠には,日本の伝統的な座敷のように物をほとんど置かず床の間の飾りつけに凝縮するやり方もあるし,西欧住宅の居間のように家族の歴史を物語る写真,記念品や絵画,装飾品で室内を飾りたてるやり方もあり,方法はさまざまであるが,住む人の考え方や美意識にかかわる個性が表現されているのが好ましい。…

【灯火】より

…この屋内の火は,石の囲いなどの簡単な造りので燃やされる裸火として出発した。炉火は暖房,炊事,虫よけなどの用途のほか,屋内の照明としても機能した。未開社会の住居で,炉火以外に照明用の灯火を常用していた例はむしろ少数に属する。…

【舞台照明】より


[舞台照明の役割とその歴史]
 舞台照明とは光をもって劇芸術の創造に参加することをいう。劇芸術には,演技者,音楽家,舞踊家など,舞台に出演する人たちのほかに,舞台装置,舞台照明,舞台衣裳,音響効果など,スタッフとよばれるさまざまな仕事がある。…

※「照明」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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