翻訳|Torah
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[ユダヤ教,キリスト教]
バビロン捕囚による体制崩壊の後,聖伝承は文書化され,経典化され,〈ことば〉の宗教は書物宗教になった。とくに律法(トーラー)は神の啓示と解され,個人的主体的な律法厳守による契約団体(教団)の再建がなされた。エズラによるこの律法主義の成立の結果,律法解釈の分裂が始まり,煩瑣な議論が続き,神は〈遠い神〉になった。…
…聖書本文の保持伝承のために,マソラ学者と呼ばれる人々が早くから努力を重ね,後代よい写本を選んで本文を校訂し,必要な注記を欄外に加え,死語となったヘブライ語で本文を正しく読むことのできるように,子音字で書かれている本文に母音符号を添え,今日マソラ本文と呼ばれる原典が7世紀以降に完成した。原典は24巻から成り,〈律法(トーラー)〉,〈預言者(ネビーイーム)〉,〈諸書(ケスービーム)〉の3部に分かたれている。この配列は,ユダヤ教団における正典化の順を示している。…
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【総説】
住居の類語としては,すぐに住宅・住いがあげられる。住宅と住居を比べると,住宅のほうが人間のすみかとしての建物の側面を強く含意する。住い(すまひ)は〈すまふ〉の連用形の名詞化であり,当て字として〈住居〉を用いることがある。つまり住居と住いは一応同義ととらえてよいし,そこには住むという人間の能動的な営み,すなわち人の暮しが浮き出されている。《日本大辞書》(山田美妙著,1892‐93)によると,〈すむ〉には(1)居所を定める〈住む〉,(2)濁りがなくなる〈澄む(あるいは清む)〉,(3)事終わってすべて澄むの〈済む〉があてられており,《岩波古語辞典》では〈すみ(棲み・住み)〉は〈スミ(澄)〉と同根であり,あちこち動きまわるものが,一つ所に落ち着き定着する意とある。…
…その起源は,前5世紀中葉に,バビロニアからエルサレムに〈モーセの律法〉をたずさえて来て,公衆の面前で朗読,解説したエズラにさかのぼる(《ネヘミヤ記》8章参照)。この〈モーセの律法〉は,のちに単に律法(トーラー)と呼ばれる旧約聖書巻頭の5冊の書物(《創世記》《出エジプト記》《レビ記》《民数記》《申命記》)の一部であったと思われる。ともかく,エズラによる律法の朗読と解説は,ユダヤ人が,その宗教的・民族的共同体の全生活を律する成文律法を持つと同時に,律法解釈という作業を始めたことを示している。…
…また,福音=新約聖書と対立させ,律法=旧約聖書の意味に用いる場合もある。より狭義に用いる場合は,旧約聖書内の〈律法〉,つまり旧約聖書の最初の五書(モーセ五書)の別名として,とくにユダヤ教で用いられ,〈トーラーTorah〉ともいわれる。その場合は,〈律法(トーラー)〉〈預言者(ネビーイーム)〉〈諸書(ケスービーム)〉という三区分の一つとして用いられる。…
※「トーラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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