モーセ五書(読み)もーせごしょ(英語表記)Five Books of Moses

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モーセ五書」の意味・わかりやすい解説

モーセ五書
もーせごしょ
Five Books of Moses

旧約聖書』の最初の五つの書「創世記」「出エジプト記」「レビ記」「民数記」「申命記」に対する総括的名称ユダヤ教の立場からはトーラーTorah(律法)とよばれる部分であり、聖書全体に占める地位はとりわけ重い。単に五書とよばれる場合もあるが、それはギリシア語ペンタトイコス(五巻の意味)に従った呼称である。内容的には、天地創造からモーセの死までを含む壮大な歴史文学で、神話、伝説、物語、詩歌、律法など多彩な様式からなる四つの伝承資料を通して伝えられ、いくつかの編集段階を経て、今日の形に結集された。五書の伝承史をめぐる資料批判の問題は、旧約聖書学のもっとも興味深い分野に属している。

[山形孝夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モーセ五書」の意味・わかりやすい解説

モーセ五書
モーセごしょ
Pentateukos (biblos); Five Books of Moses

トーラーともいう。「五巻の書」の意で,単に五書,あるいはペンタテューク,律法などさまざまに呼ばれ,旧約聖書中の『創世記』『出エジプト記』『レビ記』『民数記』『申命記』をさす。この呼称は2世紀以後のもので,今日では,五書と同じ資料から編集された『ヨシュア記』を加えて,「モーセ六書」 (→ヘクサテューク ) と呼ぶこともある。

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