ドイ・モイ政策(読み)どいもいせいさく(その他表記)Doi Moi Policy

知恵蔵 「ドイ・モイ政策」の解説

ドイ・モイ政策

ドイ・モイベトナム語で「刷新」の意味。1986年12月の第6回ベトナム共産党大会で採択され、2006年で政策導入20周年を迎えた。経済活動の国家統制を緩和、撤廃していく制度改革。性急な社会主義的改造路線の完全否定、重工業優先を見直し、農業を基本として食糧・食品の増産、生活消費財の生産拡大、輸出品の拡大に優先順位をつけ投資を集中する、国営・公営企業以外の資本主義的経営や個人経営を認める、国際分業・国際経済協力に積極的に参加していく。カンボジア和平によるベトナムの国際社会復帰と各国援助の開始(92年)、米国による経済制裁の一部解除(92年)、ASEAN加盟(95年)など国際環境の変化もあり、ドイ・モイはベトナムの経済復興・発展に大きく寄与。在外ベトナム人(越僑)や東アジア諸国からの投資、観光ブームを呼び込み、02年以降の経済成長率は年平均7%を超え、WTO加盟に向けても動き出している。一方、経済格差が拡大、「貧しさを分かち合う」ベトナムの社会主義原理の正当性が脅かされている。

(片山裕 神戸大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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