ナッタ(Alessandro Natta)(読み)なった(英語表記)Alessandro Natta

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ナッタ(Alessandro Natta)
なった
Alessandro Natta
(1918―2001)

イタリアの政治家。北イタリアのインペリアに生まれ、ピサの高等師範で文学を専攻。在学中に反ファシズム地下運動に参加し、終戦時に共産党入党。1948年に下院議員に当選し、1956年には中央委員に選ばれる。以後、党の宣伝・教育部門で要職を歴任し、1966年以来、指導部員として、またベルリングエル書記長を補佐する書記として活躍、1983年の中央統制委員長を経て、翌1984年6月同書記長の死後その路線の継承者として1985年1月書記長に就任した。新書記長のもとで党は1986年に社会民主主義化を強める一方、両性間の平等といった新しい要求にも取り組んだが、政権獲得の明確な展望を欠いていたため国民の支持をしだいに失い、1987年の総選挙に続いて1988年の地方選挙ではとくに惨敗を喫した。1988年6月に病気を理由に書記長を辞任し、翌月オッケット副書記長が後任に選ばれた。ナッタは共産党低迷の象徴的存在とみられがちだが、オッケットやダレーマなどの次代の指導者を育成した功績は大きい。その後1991年の左翼民主党結成時には旧ベルリングエル派の指導者として活躍した。

[重岡保郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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