ヒ酸カルシウム(読み)ヒサンカルシウム

化学辞典 第2版 「ヒ酸カルシウム」の解説

ヒ酸カルシウム
ヒサンカルシウム
calcium arsenate

Ca3(AsO4)2(398.07).ヒ酸石灰ともいう.CaCl2水溶液に,Na3AsO4またはNaH2AsO4を加え,さらにNaOHを加えると三水和物が得られる.これを100 ℃ 以上に加熱すると無水物となる.工業的には,As2O3をHNO3で酸化した液に,Ca(OH)2を加えてつくる.したがって,市販品には普通,余分のCa(OH)2が含まれる.無水物は,りょう面体晶系,正四面体型のAsO4を含む.As-O約1.61~1.71 Å.無水物,三水和物ともに無色.水に難溶,濃塩酸に可溶.無水物は密度約3.52 g cm-3.融点1450 ℃.有毒.殺虫剤,農薬などに用いられる.このほかに酸性塩がある.ヒ酸水素カルシウムCaHAsO4(180.01)は天然にも鉱石として産出する.ヒ酸二水素カルシウムCa(H2AsO4)2(321.96)は,過剰のヒ酸を加えると生じる.三斜晶系.[CAS 7778-94-1]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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