改訂新版 世界大百科事典 「マルセルセッケン」の意味・わかりやすい解説
マルセルセッケン(石鹼) (マルセルせっけん)
Marseille soap
マルセイユ地方では良質のオリーブ油が大量に産出され,これを原料としてセッケンの製造が行われたので,このセッケンを日本ではマルセルセッケン(正しくはマルセイユセッケン)と呼んだ。原料が良質の脂肪酸であることに加え,油脂のケン化,塩析を3回以上繰り返して遊離アルカリや中性脂肪残分がないようにケン化し,かつ十分熟成させることによって得られる良質のセッケンである。充てん(塡)物を含まず,溶解性に富む。現在では油脂原料としてオリーブ油を主成分とせず,代りに綿実油,ラッカセイ油,牛脂なども多量に使用するようになったため,マルセルセッケンの名称は充てん物を含まない,良質の液脂セッケンに対して用いられている。絹精練,羊毛洗浄などの工業用にも使用される。
執筆者:内田 安三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報