ミングレル族(読み)ミングレルぞく(英語表記)Mingrelian

改訂新版 世界大百科事典 「ミングレル族」の意味・わかりやすい解説

ミングレル族 (ミングレルぞく)
Mingrelian

グルジア人の一種族。ロシア語ではメグレル族Megrel。古代に黒海沿岸で栄えたコルキス王国遺民である。現在ではリオニ川右岸とホビ,イングリなどの河川盆地に,また緊密な集団をなしてアブハジアに住む。カルト人,スバン人などとともにグルジア民族形成の主要な母体となった。16世紀中葉,領主ダディアニ家はイメレティア・グルジア王国から事実上独立して,アブハジアにも支配権を及ぼし,その領域はサメグレロと呼ばれた。オスマン帝国の進出を前にダディアニ家は1638年よりロシアのツァーリの名目的家臣であったが,1803年グリゴル・ダディアニは最終的にツァーリの保護を求めた。ロシアの直接統治が及んだのは1856-57年の農民反乱鎮圧後である。ミングレル語グルジア語方言ではなく,独立の言語であるが,文語としては発達せず,家庭で母語として用いる者も社会に出てはグルジア語を用いる。彼らは最近まで他のグルジア人と区別される独自の生活文化を有していた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android