日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
リンモリブデン酸アンモニウム
りんもりぶでんさんあんもにうむ
ammonium phosphomolybdate
リン酸とモリブデン酸とからなるヘテロポリ酸(異種多重酸)のモリブドリン酸のアンモニウム塩を慣用的にこのようによんでいる。多くの種類の化合物が知られているが、もっともよく知られているのは、ドデカモリブドリン酸アンモニウム六水和物(NH4)3[PMo12O40]・6H2O、式量1984.44と18-モリブド二リン酸アンモニウム十四水和物(NH4)6[(PO4Mo9O27)2]・14H2O、式量3141.08である。このうち普通にリンモリブデン酸アンモニウムというときは前者をさすことが多い。
(1)ドデカモリブドリン酸アンモニウム 深黄色の細かい結晶。水に難溶。濃硝酸中リン酸水素ナトリウムNa2HPO4とモリブデン酸アンモニウムとを反応させて得られる。
(2)18-モリブド二リン酸アンモニウム 黄色微結晶。濃モリブデン酸アンモニウム水溶液に過剰のリン酸を熱的作用させ、ついで塩化アンモニウムを飽和させて得られる。水に溶けるが、アルカリ性にすると分解する。
[中原勝儼]