モリブデン酸(読み)モリブデンサン

化学辞典 第2版 「モリブデン酸」の解説

モリブデン酸
モリブデンサン
molybdic acid

Moの酸化物MoO3・H2O(組成式はH2MoO4に相当する)(ジヒドロキシジオキソモリブデン),およびMoO3・2H2O(H2MoO4・H2O)をいう.そのほか,各種のイソポリ酸を含めることもある.【】MoO3・H2O(161.95):組成上は,いわゆるオルトモリブデン酸H2MoO4に相当するが,その固体には独立した O42- は存在しない.七モリブデン酸アンモニウム(NH4)6Mo7O24と濃硝酸の室温での水溶液反応で二水和物が得られる.一水和物はこの水溶液の加熱,またはMoO3とHClの水溶液の加熱反応で得られる.MoO3・2H2Oは単斜晶系.ひずんだ八面体型のMoO5(OH2)が,軸方向のH2OとO原子を除く赤道面の4個のO原子を,周囲の八面体型と頂点共有で結合して平面層をつくっている.Mo-O1.77~2.16 Å(架橋),1.69 Å(末端),2.29 Å(H2O).一,二水和物とも淡黄色,冷水には難溶,熱水に微溶,硫酸,アンモニア水,NaOH水溶液などに可溶.[CAS 7782-91-4]【】イソポリ酸:七モリブデン酸塩Mo7O246-,八モリブデン酸塩Mo8O264-水溶液(NaCl/NaClO4共存)の低pH領域に七モリブデン酸(6-),八モリブデン酸(4-)がプロトン付加物として存在するという報告がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モリブデン酸」の意味・わかりやすい解説

モリブデン酸
モリブデンさん
molybdic acid

普通モリブデン酸というときはオルトモリブデン酸をさす。ほかにもパラモリブデン酸,メタモリブデン酸があるが,これら総称としてモリブデン酸ということもある。淡黄色,柱状晶。水に微溶。酸化モリブデン (VI) の塩酸溶液を約 50℃前後に熱すると得られる。

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