改訂新版 世界大百科事典 「ルリジサ」の意味・わかりやすい解説
ルリジサ
borage
Borago officinalis L.
美しい青色の花を咲かすムラサキ科の一年草。地中海地方原産。ヨーロッパでは中世以来,庭園植物として広く栽培され,各地に逸出している。日本には明治中ごろに紹介されたが,あまり栽培されていない。茎は分枝し高さ30~60cm,剛毛が多くざらつく。汁質で,もむとキュウリのにおいがする。茎下部につく葉は大型で倒卵形,縁は波打ち,短い葉柄には翼が発達し,チシャの葉に似ている。上部の葉はより小型で柄はなく,長楕円形。花は茎上部の葉腋(ようえき)から出るかたつむり状花序につく。5枚の花被は鮮かな青色で平開し,先端は長くとがる。花冠は径2~2.5cm。葯は花冠の中央に集まり花冠から突出する。花期は7~9月。果実は堅果で黒色。観賞用とされるほか,蔬菜(そさい)として葉を食用とする。また,ギリシア・ローマ時代から,ヨーロッパでは薬用植物として花や茎葉が茶やシロップにされ,とくに冷飲料として利用された。最近では香りの良い蜜を生じるので,蜜源植物として注目を集めている。
執筆者:矢原 徹一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報