一ノ坂遺跡(読み)いちのさかいせき

国指定史跡ガイド 「一ノ坂遺跡」の解説

いちのさかいせき【一ノ坂遺跡】


山形県米沢市矢来にある縄文時代前期の集落跡。米沢盆地西南部の丘陵の裾にある河岸段丘上に位置する。1989年(平成1)、宅地造成にともなう発掘調査によって全長43.5mの日本最長の大型竪穴(たてあな)住居が発見され、石槍・石鏃(せきぞく)・石匙石銛などの石器や、作りかけの石器、石器を作るときにできたと思われる剝片(石屑)が発見された。1990(平成2)~1994年(平成6)に発掘調査が実施され、1997年(平成9)に国指定史跡となった。遺跡東西約90m、南北80mの範囲に広がり、大型竪穴住居1棟のほか、連続して並ぶ竪穴住居24棟、土坑墓6基が確認され、きわめて特異な構造と大量の石屑遺物から、石器を作る共同作業所および作業者の共同住宅だったのではないかと考えられている。現在は保存のために埋め戻されている。JR米坂線西米沢駅から徒歩約17分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報