日本大百科全書(ニッポニカ) 「万宝全書」の意味・わかりやすい解説
万宝全書
ばんぽうぜんしょ
美術、茶道具の百科全書。菊木嘉保編。13巻13冊。1694年(元禄7)に上梓(じょうし)されて以来、たびたび版を重ねた。巻1、2、3は本朝画印伝378人、雑伝64人、巻四は唐絵画印伝178人、巻五は和漢墨蹟(ぼくせき)印尽92人、本朝古今名公古筆諸流34家、古来流行御手鑑(おてかがみ)目録751、巻6、7は故家名器真形之正図47品、和漢名物茶入肩衝(かたつき)目録191、巻八は和漢諸道具見知抄38品、巻九は和漢古今宝銭図330余品、巻10、11、12は古今銘尽合類大全、巻13は彫物目利彩金抄。巻6、7の和漢名物茶入肩衝目録は、1672年(寛文12)刊行の『茶器弁玉集(べんぎょくしゅう)』を踏襲、加筆したもの。享保(きょうほう)版行本には徳川家康、秀忠(ひでただ)、家光(いえみつ)の筆跡を載せたため幕府から絶版を命ぜられたが、1755年(宝暦5)に3人の筆跡を削って発行された。江戸時代における美術全般の書として貴重なものとなっている。
[筒井紘一]