最新 地学事典 「万県動物群」の解説
ワンシエンどうぶつぐん
万県[万县]動物群
Wanxian fauna,Wanhsien fauna
中国重慶市万州区(旧四川省万県)の塩井溝の洞窟・裂罅(れつか)堆積物に含まれていた化石群で代表される,中国南部の中期更新世の哺乳動物群。名称は旧地名による。塩井溝は,周口店とならんで1920年代から知られていた化石産地。ここの哺乳類化石には,小型のものから大型のものまでの多くの種類がある。トウヨウゾウ(Stegodon orientalis)やバク類の絶滅種(Megatapirus augustus)などの第四紀型の絶滅種を含むが,キンシコウ(Rhinopithecus roxellanae)・ジャイアントパンダ(Ailuropoda melanoleuca)・ホエジカ(Muntiacus muntjak)など現生種が多い。このような特徴をもつ動物群は,中国南部の各地にある中期更新世の洞窟・裂罅堆積物からも見つかっている。万県動物群は中国北部の周口店動物群と同じ時代だが,内容が大きく異なり,現在の中国南部の動物群の母体となったと考えられる。なお,地名がなくなったため,万県動物群の名称は近年あまり使われなくなっている。四川動物群または塩井溝動物群とも。
執筆者:河村 善也
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

