三九クーデタ(読み)さんきゅうクーデタ

改訂新版 世界大百科事典 「三九クーデタ」の意味・わかりやすい解説

三・九クーデタ (さんきゅうクーデタ)

第2次大戦末期,フランス領インドシナ(仏印)のフランス勢力を打倒するため,駐仏印日本軍第38軍(司令官土橋勇逸中将)が起こしたクーデタ。明号作戦ともいう。1940年の日本軍の北部ベトナム進駐,41年の南部進駐以来,仏印は事実上日本軍の支配下にあったが,政治・経済・軍事主権は依然として仏印政府が握っていた。44年のパリ解放以来,仏印政府内部にド・ゴール派が台頭し,これとインドシナ上陸が予想される連合軍との連絡を恐れた日本軍は45年3月9日,突如ハノイサイゴン等でフランス駐留軍を攻撃して政庁を接収し,軍隊武装解除した。3月11日,アンナン保護国皇帝バオダイはベトナム(越南)帝国の独立を宣言し,チャン・チョン・キム内閣が生まれた。翌12日にカンボジア,4月8日にラオスも独立した。しかしベトナム帝国は日本軍の完全な傀儡かいらい)政権で,財政・軍事権をもつことも許されず,日本軍降伏とともに消滅した。その一方で,フランス権力の消滅は,ベトミンの主導するベトナム民主共和国臨時政府の樹立(9月2日)を助けた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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