フランス領インドシナ(読み)フランスりょうインドシナ(英語表記)Union Indochinoise Française

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フランス領インドシナ」の意味・わかりやすい解説

フランス領インドシナ
フランスりょうインドシナ
Union Indochinoise Française

19世紀後半,トンキン (北部ベトナム) 保護領,アンナン (中部ベトナム) 保護領,コーチシナ (南部ベトナム) 直轄植民地とカンボジア保護領,ラオス保護領の5領をもって構成されたフランスの植民地インドシナ連邦。この連邦制は,東部コーチシナ領有 (1862) に始り,カンボジア (63) ,トンキン,アンナン (83) 諸邦の保護領化を経て,1887年にしかれ,その後,93年に保護領としたラオスなどを編入 (95) して完備され,1945年まで継続された。この連邦は,フランス本国の行政権の代行者であり,またインドシナ全般の利益代表者でもある総督によって統治された。連邦構成各邦の地方行政長官としては,植民地のコーチシナに知事が,その他の各保護領には理事長官がおかれた。保護領にはフランス行政と並行して形式的な土着行政が行われたが,実権はまったくなかった。こうした支配に対しては,すでに統治の初期から,民族意識の高揚していたベトナム民族を中心に反仏独立闘争が続いて展開され,45年3月日本軍によるフランス側からの政権奪取を経て,同年9月にはベトナム民主共和国の独立を迎えるにいたった。しかし,フランスは南ベトナムにおける支配権を放棄しようとせず,7年半にわたる全面戦争結果,54年のジュネーブ極東平和会議によって,ついにインドシナ半島から撤退した。

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