三章論争(読み)さんしょうろんそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三章論争」の意味・わかりやすい解説

三章論争
さんしょうろんそう

6世紀のキリスト単性論派論争において、ネストリウス的異端の疑いをかけられた3人の神学者の教説をめぐる論争。「三章(トリア・ケファライアtria kephalaia)」とは「三つの頭(あたま)」の意味で、モプスエスティアの主教テオドロスの人とその著書、キロスの主教テオドレトスの著書のうちアレクサンドリアのキリロスを反駁(はんばく)したもの、およびエデッサの主教イバスのペルシア主教マリスあて書簡をさす。ビザンティン(東ローマ)皇帝ユスティニアヌス1世(在位518~565)は反単性論派の意に沿った勅令(543)を出したため単性論派の反発にあい、いわば均衡を保つために、ネストリウス的と目されていたこの三章を弾劾した。さらにコンスタンティノープルの第5回公会議(553)はそれを異端と決議したが、今日では異端とは考えられていない。

森安達也

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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