三虚霊(読み)さんきょれい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三虚霊」の意味・わかりやすい解説

三虚霊
さんきょれい

尺八音楽の曲名。古典本曲。普化宗の所伝によれば,古典本曲中の最古の曲として最も尊重される。下記 (1) (2) (3) の3曲を合せた呼称別称「古伝三曲」。琴古流,明暗流など。明暗流では,この3曲のみを本曲とし,他曲はすべて外曲と呼ぶ。 (1) 虚霊 虚鈴,真虚霊,鈴慕ともいう。普化禅師の振鳴らした鐸 (たく) の音を尺八で模して唐の張伯が作った曲を,鎌倉時代の僧覚心 (かくしん) が習い伝えた曲といわれる。 (2) 霧海ぢ (むかいぢ)  覚心の高弟,普化宗本山京都明暗寺の開山,虚竹が伊勢の朝熊山に参籠中の霊夢に感じて作曲したという。 (3) 虚空鈴慕 (こくうれいぼ)  虚空ぢ,虚空ともいう。作曲事情は (2) と同じ。

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世界大百科事典(旧版)内の三虚霊の言及

【虚空】より

…夢さめた寄竹は2種の妙音を尺八曲となし,帰参して師の覚心に聞かせ,覚心はその2曲に《霧海篪(むかいぢ)》と《虚空篪》の名を与えた。この伝説ゆえにこれら2曲は《虚鈴(霊)》とともに古伝三曲(または三虚霊)と呼ばれ,最古の曲としてとくに尊重されている。曲名には普化宗らしい禅的な解釈が付会され,妄想を断ち太虚と融合する意といわれる。…

【霧海篪】より

…曲名中〈篪(ち)〉とは古代中国の竹製の笛の一種を意味する字である。普化宗の所伝によれば,古典本曲中最古の曲の一つとされ,《虚鈴(霊)(きよれい)》《虚空(こくう)》とともに〈古伝三曲(または三虚霊)〉と呼ばれて,とくに尊重すべき秘曲とされている。曲の起源・伝説については《虚空》の項を参照されたい。…

※「三虚霊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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