普化(ふけ)宗の伝統を受け継いだ尺八家の、諸系統を総括する用語。俗に「めいあん」と読む。「明暗」の字は、普化禅師の唱えた四句の偈(げ)「明頭来明頭打(みょうとうらいみょうとうだ)、暗頭来暗頭打(あんとうらいあんとうだ)……」に由来し、京都や越後(えちご)の明暗寺など、普化宗寺院の寺号にも使われた。普化宗廃止(1871)により虚無僧(こむそう)と托鉢(たくはつ)は禁止されたが、京都の東福寺に明暗教会として虚無僧の尺八が復興した。これを機に、各地に同様の団体ないし尺八の流派が復活。一時、明暗流という名称も使われたが、実質的には明暗対山(たいざん)流(または明暗対山派)の流儀を意味した。明暗真法(しんぽう)流、明暗対山流、西園(せいえん)流、九州明暗派、普化尺八派などのほか、固定した流派とみなしにくい伝承も多くあり、これらの総称としては、明暗各派とでもよぶほうがよい。狭義には京都の明暗寺の流れをさすが、これも廃宗前(真法流)と廃宗後(対山流)とでは、伝承曲、記譜法がまったく異なる別の芸系である。西園流を除いて、古典本曲(ほんきょく)しか奏さず、普化宗における吹禅(尺八吹奏による禅)の精神を尊重する点で、各派共通する。
[月溪恒子]
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… これら近代諸流に対して,普化宗以来の伝統を重んじて琴古流本曲以外の古典本曲の伝承を続ける人々がある。その芸系は多岐に分かれているが,便宜的な総称として明暗流または明暗諸派などと呼ばれている。明治初年から昭和30年ごろまでは外曲がとくに盛んだったため,明暗諸派の古典本曲はあまり知られない存在だったが,今日では尺八楽本来の曲種として大いに注目されつつある。…
※「明暗流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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