三陽(読み)さんよう

精選版 日本国語大辞典 「三陽」の意味・読み・例文・類語

さん‐よう‥ヤウ【三陽】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 春の三か月。三春。また、正月をいう。
    1. [初出の実例]「三陽二月春云半。雑樹衆花咲且散」(出典:凌雲集(814)於神泉苑侍讌賦落花篇応製〈小野岑守〉)
  3. 中国の古代医学で三陰三陽という経絡(けいらく)の経の名。三陰三陽は経絡を陰陽で説明したもので、手と足にそれぞれ三種の陰陽の経絡があるとされる。三陽は、太陽、少陽、厥陽で、手の三陽は順に、小腸経(火)、三焦経(火)、大腸経(金)、足の三陽は、膀光経(水)、胆経(木)、胃経(土)の計六経。三陰と合わせて一二経になる。→三陰
    1. [初出の実例]「素三陰三陽相生相克無備、凡無互性備」(出典:自然真営道(1753頃か)大序)
  4. 中国の古代医学で、三陰三陽病という病気の中の熱性の三種の名。太陽病、少陽病、陽明病のことをいう。→三陰

三陽の補助注記

について)本来、「易」においては、卦の中の三つの陽爻(ようこう)が揃うことで、正月をいい、この月に天の気と地の気が完全に入れ替わると見る。こうした考え方にもとづき、「三陽」は「正月」の異名として用いられるようになった。ただし、春三か月の異名として用いることは、中国においては一般的ではない。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の三陽の言及

【中国医学】より

五行説の導入も同じころに行われたと推定される。三陰(太陰,少陰,厥陰),三陽(太陽,少陽,陽明)などは医学だけにみられる説(経絡)であり,陰陽説の発展には医家がかなり貢献したと考えられる。《黄帝内経素問》(通常《素問》と略称),《黄帝内経霊枢》(《霊枢》)など後世の医学理論の基礎になった書は,これまで漢代に存在したと記録されている《黄帝内経》の一部であり,その内容は漢代の医学思想であると信じられていた。…

※「三陽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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