さん‐いん【三陰】
- 〘 名詞 〙
- ① 中国の古代医学で、三陰三陽という経絡(けいらく)の経の名。三陰三陽は経絡を陰陽で説明したもので、手と足にそれぞれ三種の陰陽の経絡があるとされる。三陰は、太陰、少陰、厥陰で、手の三陰は順に肺経(金)、心経(火)、心包経(火)、足の三陰は、脾経、腎経、肝経。→三陽②。
- [初出の実例]「手三陰(サンイン)従レ蔵走至レ手、謂手太陰起二中焦一、至出二大指之端一手少陰、起二心中一、至出二小指之端一」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四)
- ② 中国の古代医学で、三陰三陽病という病気の名。原理は「素問」に発するが、薬物療法の原典「傷寒論」で、発病状態を陽(熱性)、陰(寒性)と分類し、病気の進行にしたがって三段階に区別した。太陰病、少陰病、厥陰病のことをいう。→三陽③。
- [初出の実例]「謂二之太陰病或少陰病一。厥者謂二厥陰病一、三陰亦有二表証一」(出典:一本堂行余医言(1788)一九)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の三陰の言及
【中国医学】より
…[五行]説の導入も同じころに行われたと推定される。三陰(太陰,少陰,厥陰),三陽(太陽,少陽,陽明)などは医学だけにみられる説(経絡)であり,陰陽説の発展には医家がかなり貢献したと考えられる。《黄帝内経素問》(通常《素問》と略称),《黄帝内経霊枢》(《霊枢》)など後世の医学理論の基礎になった書は,これまで漢代に存在したと記録されている《[黄帝内経]》の一部であり,その内容は漢代の医学思想であると信じられていた。…
※「三陰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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