デジタル大辞泉
「陰陽」の意味・読み・例文・類語
いん‐よう〔‐ヤウ〕【陰陽】
1 中国古代の思想で、天地間にあり、互いに対立し依存し合いながら万物を形成している陰・陽2種の気。日・春・南・男などは陽、月・秋・北・女などは陰にあたる。おんよう。
2 「陰陽師」に同じ。
3 電気などの正と負。
4 漢方で、病気の経過・状態・部位などを示す、陰証と陽証。
5 生け花の用語。
㋐葉の裏面(陰)と表面(陽)。
㋑花の客位(陰)と主位(陽)。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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いん‐よう‥ヤウ【陰陽】
- 〘 名詞 〙
- ① 天地間にあって互いに反する性質を持った二種の気。両者の相互作用によって、万物が造り出されるとした。日、春、夏、昼、東、南、火、男など積極的性質を持つものを陽とし、月、秋、冬、夜、西、北、水、女など消極的性質を有するものを陰とする。おんよう。おんみょう。
- [初出の実例]「一切は、陰陽(インヤウ)の和する所の境を、成就とは知るべし」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)三)
- [その他の文献]〔易経‐繋辞上〕
- ② 陰陽五行説によって吉凶を占う者。陰陽師(おんようじ)。おんよう。おんみょう。
- [初出の実例]「『そなたは陰陽(いんにゃう)か』『いかにも陰陽で御ざる』」(出典:虎寛本狂言・居杭(室町末‐近世初))
- ③ 電気、磁気などのマイナスとプラス、陰極と陽極、陰電気と陽電気。
- ④ 表と裏。特に、生け花で、葉の裏側の日光があたらないところ(陰)と、日を受ける表側(陽)。陽を上に向くようにいけるのを定則とした。
おん‐よう‥ヤウ【陰陽】
- 〘 名詞 〙 ( 「おん」は「陰」の呉音 )
- ① 易学で、互いに反する性質をもった二種の気。両者の相互作用によって天地間の万物が造り出されるとした。日、春、夏、東、南、火、男など積極的性質を持つものを陽とし、月、秋、冬、西、北、水、女など消極的性質を持つものを陰とする。いんよう。おんみょう。
- [初出の実例]「陰陽之運、随レ動而差」(出典:類聚三代格‐一七・貞観三年(861)六月一六日)
- ② 「おんようじ(陰陽師)」「おんようどう(陰陽道)」「おんようりょう(陰陽寮)」などの略。
- [初出の実例]「並藤善二陰陽推歩之学一」(出典:日本文徳天皇実録‐仁寿三年(853)五月壬寅)
- 「陰陽を以て祈ると云へども、験(しるし)无し」(出典:今昔物語集(1120頃か)四)
おん‐みょう‥ヤウ【陰陽】
- 〘 名詞 〙 ( 「おんよう」の連声(れんじょう) ) =おんよう(陰陽)
- [初出の実例]「かたがたのざへ、おんみょう・天文・ゆめとき・さう人」(出典:とりかへばや物語(12C後)上)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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陰陽 (いんよう)
yīn yáng
中国人の世界観を規定するもっとも基本的なカテゴリー。〈気〉の二側面をあらわし,陰の気は静,重,柔,冷,暗,陽の気は動,軽,剛,熱,明などをその属性とする。両者の交合によって万物が生まれ,その消長によって四季が形成される。両者は対立する二元であるが敵対するものではなく,太極(たいきよく)または道と呼ばれるものによって統合されており,たがいに引きあい補いあう。また,一方が進むと一方が退き,一方の動きが極点にまで達すると他の一方に位置をゆずって,循環と交代を無限にくりかえす。中国人が事物を認識する際,対(つい)でとらえる傾向があるのもこの陰陽論に由来しており,文学表現における対句,建築などにおけるシンメトリーの愛好も陰陽論と切りはなすことができない。
→陰陽五行説
執筆者:三浦 国雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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普及版 字通
「陰陽」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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陰陽【いんよう】
古代中国に成立した基本的な発想法。陰は山の日かげ,陽は山の日なたを表し,気象現象としての暗と明,寒と熱の対立概念を生み,戦国末までに万物生成原理となり,易(えき)の解釈学の用語となって,自然現象から人事を説明する思想となった。のち五行説と結合して陰陽五行説となった。現代中国では,伝統医学(中医学)の診断・治療に際し,陰陽相対・互根,陰陽消長・転化を原理とする全体観的方法を展開して,生理・病理を理解し,治療方針を策定している。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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世界大百科事典(旧版)内の陰陽の言及
【陰陽五行説】より
…中国思想において,陰陽論と五行説とを組みあわせ,宇宙の生成,自然のめぐり,統治のあり方,人体のしくみなど,宇宙から人事にいたるあらゆる現象を説明するのに用いられた理論。さまざまな占いにも応用された。…
【中国哲学】より
…前漢の初期には,秦の弾圧政策の反動として,自由放任の政治を説く道家思想が流行したが,やがて武帝の代になって儒学が官学として採用され,以後2000年にわたる儒教支配の基礎を固めることになった。漢代儒学の特色の一つは,陰陽五行説を取り入れたことにある。[陰陽]説とは万物が陽気と陰気の2要素から成ると説くもので,その典型的な例は《易経》に見られる。…
※「陰陽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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