朝日日本歴史人物事典 「下毛野武正」の解説
下毛野武正
生年:生年不詳
平安末期の随身。左近衛府の府生(武官)下毛野武忠の子。従六位上,久安2(1146)年に右近将曹に至る。父の代より摂関家に仕え,父の禁獄の代償として藤原忠実の随身となる。随身の諸能のひとつである馬芸に拙劣で,馬好きの忠実の下では不遇であったが,その子忠通の随身となってからは,忠通に可愛がられ,随身としての地位を確保した。中世の説話集などに武正の活躍ぶりが描かれているが,苦手の馬芸を逆手に取った振る舞いや自らの美貌を誇る様子など,どこかおどけた人物として描かれている。<参考文献>渡辺晴美「院政時代と随身―下毛野武正を通して」(『日本歴史』456号)
(渡辺晴美)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報